サンタもたまには恋をする 7

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 シュークリームにがっついて、あっという間に平らげた男は、肩まである髪はボウボウ、シャツといいダボダボのズボンといい汚れまくっていたが、細面の顔は少なくともオヤジではなかった気がする。
 からだをゆすった時、随分やせた男だと思った覚えはあるが。
 二人がコーヒーを飲みつつまったりしているところへ、電話が鳴った。
「あ、お疲れ様です。え、藤堂さん? いますよ。今代わります」
 浩輔は受話器を離して藤堂を呼んだ。
「啓子さんです、『銀河』の」
 銀河とは、ビルの三、四階を占めているギャラリーのことである。
 プラグインのビルを建てる際、以前から好きな絵や彫刻を扱う仕事がしたいと話していた達也の姉の美保子に、ギャラリーを開いて任せようということになったのだが、お嬢様社長の美保子ひとりに経営を任せておけず、絵や彫刻にも精通している藤堂はこの銀河の取締役兼プロデューサーとしても名を連ねていた。
「啓子ちゃん? どうしたの?」
 最近銀河に入った荒木啓子はくっきりフェイスで明るく、受付から事務処理まで仕事をてきぱきとこなしてくれる頼もしい存在だ。
「わかった、すぐ行く」
「何かあったんですか?」
 藤堂が受話器を置くと、浩輔が聞いた。
「いや、変な客が彼女に絡んでるらしい。美保子さん、今日はいないしな」
 藤堂が階段を上がってギャラリーのドアを開けると、啓子と男が何やらもめている。
「だから、直接社長と話、させろよ!」
 若い男のようだが、肩を越す髪にバンダナを巻き、紺のシャツもダボダボのズボンも泥でひどく汚れている。

 


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