「キッチン、去年よりすごいことになってて。業務用のでかい食洗機があるんです。食器とか片付けるのもすげえラクで」
良太はこんな風に工藤が仕事を離れてゆっくりしていることが何だか嬉しかった。
「手伝っていたのか?」
「ええ、今さっき終わったとこです。あ、でも、社員さんらが利用する場合は、キッチンに二人、係りの人がいるらしいですよ。すぐ傍に食堂があって、さっきの部屋にもあったコーヒーマシーンとかもあるし、レンチンできるようになってるんです。俺らの朝食とかはそこで食べるようになってます」
良太は嬉々として説明した。
「夏に来た時は、表側のすげえ立派な母屋の方でしたよね」
夏にいきなり綾小路のパーティに連れていかれた時のことを良太は思い出して言った。
「何かの時は、向こうのすげえ立派な方を使うんだろ」
言葉遣いをリピートする工藤を上目遣いに睨むと、良太は「茶化さないでください」と文句をつける。
工藤はフン、と鼻で笑う。
「あ、良太さん、洗濯物ありますか? 今まとめてるんで」
階段を降りてきた良太に、腕まくりをした浩輔が尋ねた。
「あ、これ、お願いします」
「じゃ、預かります」
浩輔はちょこまかと動いて、いろいろ手伝っている。
「あ、良太ちゃん、工藤さん、一緒に飲みましょう!」
こちらではリビングのソファから直子が手を振った。
もう既に飲んでいるようだが、直子は、はっきり言って酒豪だ。
と、良太はイブのパーティで認識している。
速水と理香、それに彩佳が大きなソファセットの奥に陣取っていた。
「風呂、なかなかでしょう?」
速水が向かいに座った工藤に言った。
「ああ、贅沢な保養施設だな」
良太が工藤の横に座ると、速水は立ってカウンターの中に入った。
「工藤さん、良太ちゃん、何飲みます?」
「じゃ、バカルディをストレートで」
「あ、俺も」
良太は工藤の真似をして言った。
「お前、風呂まだだろう? ソーダ割の薄いヤツにしてやってくれ」
途端、良太はムッとした顔をするが、確かにここで強い酒を飲んだ日には風呂も入らずに寝てしまう可能性があると、言葉には出さなかった。
「お二人とも、初釜以来ですね」
彩佳が二人に声をかけた。
「ですね。住田さんはスキー? スノボ?」
良太は頷いて聞き返した。
「あたし、スキーは大学以来なのよ。今日も恐々、京助さんに教えてもらってやったんだけど、もうハチャメチャ」
「え、あの京助さんにコーチしてもらったんですか? すごい鬼コーチだって噂で………」
「ハハ、でも理香と二人、最後には何とか下まで降りてこられるようになったのよ」
「京助、女にも手、抜かないからね、全く!」
文句を言いながら理香はグラスを開けた。
「あら、あのくらいビシバシやってもらわないと、あたしなんかいつまでたっても滑れないわよ」
彩佳がころころと笑う。
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