朝六時起きで佐々木がキッチンに行ってみると、既に京助と研二がご飯を炊き、冷凍パン生地をオーブンに入れ、鮭を焼き、サラダを作っていた。
三十人分の朝食なので、昨日のうちにご飯かパンか、それにアレルギーの有無は一人ひとりに聞いている。
「おはようございます」
挨拶してすぐ、壁に引っ掛けてあったエプロンを取ってつけると、佐々木は味噌汁を作ることにした。
レシピは壁のボードに書いてあり、それをもとに作るわけで、誰でもできそうなものの、やはり作ったことのある者でないと、そう簡単にはいかない。
「おはようございます!」
バタバタと入ってきたのは良太と森村だ。
昨日はレストランで開催予定の食事会の準備があったため、片づけをちょっと手伝っただけだったので、朝は手伝おうと良太は森村と決めていた。
「食器、用意します」
土壇場でやっぱりこっちがいいという者もいたりするので、人数より若干多めに作ることになっていた。
食べる量もある。
京助がオムレツを焼けば、研二が厚焼き玉子を作る。
研二は店も持っているプロだが、京助もプロはだしだ。
豆腐とわかめ、なめこの味噌汁のいい香りがしていると思えば、寸胴鍋では玉ねぎとベーコン、トマトのスープが湯気を立てている。
白菜と塩昆布のあっさり和風サラダ、チキンやトマト、レタスのボリュームサラダ、など、どれも旨そうだと、器に盛りつけながら良太は思わず唾を飲み込む。
大体のメインが出来上がってしまえば、後はそれぞれ京助が厚切りハムを焼いたり、佐々木がフレンチトーストを焼いたり、研二は大根の煮物を作っていたり。
森村はヨーグルトやメロン、イチゴなどの果物をグラスに盛りつけ始めた。
研二が切った大根のひね漬けやキュウリと白菜の漬物などを良太が小鉢に盛り付け、余った分を大き目の鉢にまとめて入れる。
七時十分前には、和風洋風ともにメインメニューがトレーに並べられ、小鉢などはカウンターに置いてあり、好きなものだけ取って食べるシステムだ。
良太がお茶をいくつかの急須にセットし、京助がコーヒーサーバーにコーヒー、紅茶ポットに紅茶をセットし終わると、あとは皆を待つだけだ。
「先に食べてろよ。手伝った者の特権」
京助が良太と森村に言った。
「はいっ!」
こういう時はちょっと苦手な京助にも調子よく返事を返す良太だ。
「研二も佐々木さんも、先に食べてくれ」
「じゃ、食べたら交代します」
ご飯を釜からよそったり、味噌汁やスープを器に盛りつけたりは、火傷や火の加減などを見ながらなので、セルフとはいかない。
「うま! 日本食って感じだ!」
最初から森村が感激している。
良太も今朝は和風をチョイスした。
焼いた鮭、厚焼き玉子、豆腐とわかめとなめこの味噌汁、白菜のサラダ、それに大根の煮物が旨そうだ。
海苔に漬物の小鉢を追加して、粒が立った温かいご飯。
「う、この大根、うま!」
思わず口にするほど絶妙な味だ。
これはぜひ工藤に食してもらわないと、と良太は心の中で呟いた。
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