花さそう28

back  next  top  Novels


「研二さん作ったんですか?」
「うん、大根食べとうなって」
 研二は控えめに頷いた。
「ほんまに美味い。今度レシピ教えて下さい」
 佐々木も気に入ったらしく、しきりと感心している。
 四人がテーブルに向かい合って食べていると、ぞろぞろと皆が階段を降りてきた。
「美味そうな匂い、途端に腹減った」
「うわ、何これ、レストランみたい!」
 ガヤガヤとそれぞれトレーに自分の朝食を乗せてテーブルにつく。
「あ、工藤さん、おはようございます」
 工藤の姿を認めて、良太は声をかけた。
「大根の煮物、美味しいですよ」
「ほう?」
 思った通り工藤も和食を選んだようだ。
「あ、工藤さん、俺、終わったんで、ここ、どうぞ」
 たったか食べ終えた研二が立ち上がった。
 研二と入れ替わって工藤は良太の向かいに座った。
「食事が終わったら、食事会の打ち合わせでリビングに集まるようにみんなに言ってあります」
「そうか」
 工藤はキャメル色のセーターにチャコールグレイのチノパン、トレイルブーツだが、どれも良太がスキー用にと選んで工藤のキャリーケースに入れておいたものだ。
「うん、確かに美味いな。研二か?」
 工藤も大根の煮物を食べると頷いた。
「研二さんに今レシピ聞いたとこです」
 隣の佐々木が答えた。
「そや、今日の午後、工藤さんの別荘お邪魔したいんですけど」
「ああ、昨日沢村から聞いた」
 佐々木が聞くと、工藤は答えて味噌汁を飲む。
「他にも行きたいメンツいるみたいやから、あとで時間決めてまたお知らせしますわ」
「わかった。夕方から食事会の予定なんで、それまでに頼む」
 八時近くになって食事会の打ち合わせで青山プロダクション関連の面々がリビングに集まっていたところへ、外から走り込んできたのはアディノのウエアにサングラスの沢村だった。
「うう、腹減った」
「走ってきたのか?」
 良太が聞くと、「おう」と答えてダイニングに向かう。
 沢村はサングラスを外して洋食のトレーにハムやサラダ、パンをいくつか、それにたった一つ残っていたフレンチトーストをゲットし、テーブルにつくなり、牛乳をグラス一杯飲み干した。
 最後にアスカが二階から降りてきた。
「うう、間に合った……」
 テーブルについているのは、理香、速水、彩佳、それに宇都宮という昨夜の酒盛り組と三田村、恵美夫妻と、半分眠りながら食べているような千雪だ。
「コーヒー、ここ置くで」
 研二がカフェオレにしたコーヒーを持ってきて千雪の前に置いた。
「おおきに」
「原稿あがったんか?」
「何とか……」
 研二はフッと笑って千雪の肩をポンポンと叩いた。

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村
いつもありがとうございます