花さそう40

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 二人のコートを受け取ると、吉川はクローゼットへ持って行く。
「工藤さん、平さんへのプレゼント、どうしました?」
 所在なく二人は入り口近くのソファに座ると、良太が聞いた。
「いつもと同じだ。明日から温泉二泊三日。あんまり遠くない方がいいっていうから、蔵王の温泉旅館の露天風呂付の部屋を手配した。タクシーで送迎してもらう」
「それはいいですね、明日は、お天気もそう悪くなさそうです」
 良太は携帯で天気予報を確認する。
「ぎっくり腰やってるからな。和室つきベッドルームのある部屋だ」
「あれから腰大丈夫なのかな」
「まあ、気をつけてはいるみたいだが」
 良太は考えた挙句、結局軽くて暖かいニットを選んだ。
 ブランドもので二万円ちょっとは良太にとってはなかなかの買い物だが、世話になっている平造にはそれでも足りない気もした。
 工藤とそんなやり取りをしているうちに藤堂と直子がやってきた。
「一番乗りですね」
 シックな深いグレーのスーツに身を包んだ藤堂はそう言って笑みを浮かべ、直子は黒のベルベットのワンピースにシルバーのチェーンネックレス、黒のレースアップシューズを履いて、二人ともプレゼントだろう包みを抱えている。
「直ちゃん、ライブ並みのドレスアップ?」
「え、これでも抑え気味なんだけど」
 直子は良太にフフッと笑う。
 それから沢村と佐々木、小笠原と美亜、千雪もやってきた。
「馬子にも衣装か?」
 沢村が良太を見て茶化す。
 ジロリと睨むが、二人とも上背があるので、スーツがよく似合う。
 ドレスコードがあったわけでもないのに、二人ともスーツを着ている。
 慌てて飛び込んできたのは森村だ。
「遅くなってすみません。タイがなかなか結べなくて、こんなんでいいですか?」
 先だってオーダーしたスーツを着た森村はいつもとは雰囲気が違って見える。
「全然、OKだよ」
 杉田も厨房の方からエプロンを取りながら現れた。
 最後にやってきたのはアスカだった。
 ペールピンクのシフォンドレスに同系色のフェイクファーを羽織っている。
 秋山はアスカを送り届けると、慌てて別荘へ引き返した。
「結婚式のパーティじゃなくて、平さんの誕生会ですよ、女性陣、競ってドレスアップしてるし」
 ぼそっと良太が言うと、直子が笑った。
 杉田もシルクの花柄のワンピースだし、美亜は胸元が深く開いた鮮やかなブルーのドレスだ。
 どうやら小笠原とブランドを合わせたようで、こちらはすっかり二人の世界だ。
 みんな、それぞれのテーブルに案内され、落ち着いたところで、良太が声を張り上げた。
「皆さん、全員揃ったようなので、平さんが来たら、皆さんで出迎えて、ご自分からプレゼントを平さんに渡してください。よろしくお願いします」

 


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