花さそう45

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「サプライズ、よかったで? しんみりし過ぎず騒ぎ過ぎず、平造さんも喜んでたし」
「ありがとうございます」
 佐々木にそう言われると、良太もホッとする。
「なあなあ、俺ン時はどんなサプライズやってくれんの?」
 小笠原がウキウキと聞いてくる。
「サプライズつきはアラフォー以上、若手ん時はまあ、食事会くらい?」
「アラカンでいい。言っとくが俺の時は絶対何かやろうなんて思うなよ?」
 すかさず隣で工藤が凄む。
「社長の誕生会やらなくてどうするんですか」
 わかっていて良太は言い返す。
「社長の誕生会やらないとか、杉田さんが悲しむんじゃないかな」
 工藤が何か言う前に小笠原がぼそりと言ってバシャっと顔を洗った。
「俺と美亜、ずっと杉田さんの話聞いてたんすよ。ぼっちゃんが小さい時はこうだったああだったって」
 途端、良太は工藤が固まった音が聞こえたような気がした。
「ぼっちゃんて?」
 沢村が何の気なしに聞いた。
「工藤さんのことだって」
 小笠原の一言に一瞬、風呂場に沈黙が走った。
「杉田さん、何しろ工藤さんが生まれた時から工藤家に行ってる人なんですよ」
 いち早く立ち直った良太がすばやく説明する。
 小笠原のやつ何も、こんなところで暴露しなくても。
「子どもの頃から知ってると、呼び名とか変えられませんからね」
 藤堂が何気にフォローする。
「沢村なんか、キッズチームで試合してるところへ、黒塗りの車が迎えに来てさ、運転手がいつも、智弘ぼっちゃま、とか呼んでたよな」
「るせえな、お前なんか俺に喧嘩で負けると、いっつもママと手つないで帰ってたくせに」
 良太が言うと沢村がさらにまぜっかえす。
「うっさい、喧嘩で負けたことなんかない!」
「お前が認めなかっただけだろうが」
「良太ちゃんとママさんって、目に見える様だね」
 藤堂が笑う。
 お陰で、ぼっちゃん、呼ばわりが工藤の痛いところだとはみんな気が付かずに話題が変わる。
「みなさん、おそろいですね」
 そこへ森村が遅れてやってきた。
「ああ、あったかーい!」
 良太の横にきて森村は湯の中に肩までつかる。
「ってか、一つ疑問なんですけど、何で、俺、未だに良太ちゃん、なんですか?」
 あらためて良太が疑問を呈すると、「いやあ、良太ちゃんは良太ちゃんなんだよね」と藤堂が言った。
「ほら、業界ってちゃんづけ多いしね」
「うーん、それとは何か違うニュアンスな気がしないでもないんですけど……」
 佐々木が良太を見て何も言わずにっこりと笑った。
 何だかそれが良太の疑問への答えのような気がした。
「お前、やっぱ結構鍛えてるよな」
 沢村が森村を見て言った。
 するとみんなの視線が森村に向けられる。
「はあ、まあ、脱ぐと顔とちぐはぐとかよく言われます」
 へへへと森村は笑った。

 


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