花さそう46

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「くっそ、俺負けてるぜ!」
 小笠原が喚いた。
「俺もちょっと鍛えないとな」
 人と比べても仕方がないとは思うのだが、良太にしてみればかつては野球少年だったとかこれでは口にできたものではない。
 沢村や森村の鍛え方は生半可なものではないとは思うが、アラフォーなんてとても言えないくらい工藤なんかも鍛えている。
 あまり考えなかったが、こういう裸の付き合いの時に貧弱になった身体を晒すのもなあ。
「ちょっと寝る前とかにスクワットするだけでも違いますよ?」
 考え込んだ良太に、森村が言った。
「仕事で時間ない日が続いたりすると、ジムにも行けなかったりだから、ちょっとスクワットするだけで、チリモツモレバ? ナントカっていいますよね?」
 慣れない日本語を使って一生懸命アドバイスをくれる森村に良太は笑った。
「わかった! やってみる」
 隣で工藤が鼻で笑うのが聞こえたが、無視だ無視! と良太は心の中で喚く。
 最後に秋山が入ってきた。
「やっぱ風呂、入らないと寒いですね」
「お疲れ様です」
 疲れた顔の秋山を見て良太が声をかけた。
「何かありました?」
「ああ、いや、スタッフ数人インフルで撮影が延びそうだって連絡が入って」
「アスカさんのドラマですか?」
「アスカさんは喜びそうですけどね、オフが増えたって」
「フン、あとのしわ寄せがきつくなるだけだ」
 工藤が割って入る。
「そうなんですよね~」
 はあ、と秋山は大きく息をついた。
 何ごともスケジュールが狂うと、あちこちに支障が出てくるのは承知の上だが、いざとなるときついものがある。
「まあ、今のうちにとことん休養しておけ」
「ええ」
 工藤の言葉に秋山も力なく頷いた。
「でも明日、スキーは無理そうですね」
 森村が窓の方を向いてボソリと言った。
「ああ、雪、積もってるよねぇ。いっそ明日は雪見宴会といきましょうか?」
 茶目っ気ある藤堂の発言に、「それがいい!」と拳を上げる小笠原を筆頭に笑いがおこった。

  

 みんなの予想通り、翌朝かなり積もっていた。
 この辺りは例年降っても三〇センチ当たりだが、今回の寒波の影響で四〇センチほどの積雪になっている。
 何よりマイナス十度前後と寒い中、京助を筆頭に藤堂やとにかく手持無沙汰な工藤も起き出して除雪機を使って雪を避けていく。
「お、俺もやりたいそれ」
 珍しもの好きな辻が加わって、玄関から門までと駐車場あたりを除雪する。
 車もガレージに入っている車以外すっかり雪を被っている。


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