花さそう48

back  next  top  Novels


 綾小路に戻ると、既に朝食を済ませた面々はリビングのソファでコーヒーを飲んだりしていたが、「今日は雪除けやってもらったから、朝飯は九時までだ」と京助が声を大にしていた。
「わあ、よかった、間に合った!」
 スウエットの上下で階段を降りてきたアスカが言った。
「お前、雪除けしてないだろ」
「そういうの、心が狭いって言うのよ」
 京助に文句を言われても何のそので、アスカはオムレツやサラダ、パンをトレーに取っていく。
 そこに飛び込んできた良太と森村は湯気の立ったスープやオムレツを口に運んで、「うう、美味い~」とつい口にする。
 下手なホテルの朝食よりずっと豪華でボリュームもあり、何よりうまい。
「お疲れ様。工藤さんの別荘行ってきたんだって?」
 こちらは具沢山味噌汁にアジの干物、卵焼きという和食をトレーに乗せた宇都宮が良太の隣に座った。
「おはようございます。ええ、夕べ結構積もりましたからね。平さん前にぎっくり腰やってるし、俺らがこっちにいるうち雪除けくらいはやらないと」
「俺もちょこっとやったんだが、久々雪と格闘したら身体じゅうバキバキいってるよ」
「ハハハ、俺、除雪機使っただけだし。あれ、面白いように雪除けしてくれるんですよね」
 良太と宇都宮が笑い合っていると、向かいの森村の隣に工藤が腰を下ろした。
「平造はどうしてた?」
 やっぱり宇都宮と同じ和食のメニューがトレーに乗っている。
 明らかに工藤が宇都宮と良太の間に割って入り、宇都宮と工藤の視線がぶつかり合ったのを森村は見た気がした。
「行ったらもう平さん、雪除けしてたんで休んでもらって、俺ら代わって裏の薪小屋の方まで雪除けしときました」
 良太はてんでそんな二人のようすに気づいていないことも森村は見て取った。
「また腰でも痛めるだけだろうに、頑固だからな。これからまだまだ雪も降るだろうし、業者を頼んでおくか」
 工藤は言うと味噌汁を飲む。
 朝飯前の雪除けはさすがにいい労働だったとみえて、工藤がいつもよりしっかり食べているのを、良太はこっそり、よし、と思う。
「京助さんなら、そういう業者知ってるかも。あとで聞いてみます」
「そうしてくれ」
 ガツガツとあっという間に平らげた森村は、ふう、と大きく息をついた。
「ご馳走様でした」
 しっかり手を合わせたあと森村は立ち上がり、「コーヒー持ってきますね」と宇都宮や工藤、それに良太に確認すると、食器を下げに向かう。
 沢村が笑ったのが聞こえて、良太がふと顔を向けると、佐々木と沢村、それに直子と浩輔が同じテーブルにいた。
 知らない者が見ただけではわからないかも知れないが、沢村はこの合宿に来てから佐々木とのことを隠そうともしていないし、佐々木の方も気にしていないようだ。


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村
いつもありがとうございます