「しょうがないじゃないですか。竹野さん、今度のドラマのゲスト主役なんですから。竹野さんが出演するってことで、記念番組にしたんで、やっぱそれに合わせた企画も必要なんですよ」
「フン、何のかの言っても工藤さんの肩持つんだから、良太は」
アスカはプンスカ怒って口を尖らせる。
「別に肩持つとかじゃなくてですね」
「どないした? アスカさん怒らせたらあかんやろ、良太」
風呂上がりの集団がやってくると、通りすがりに辻が早速アスカと良太のやり取りに口を挟む。
「良太がもう仕事モードになってしもて、おもろないって話や」
千雪がまた余計な注釈をつけて引っ掻き回そうとするので、良太はふうとため息を吐く。
「俺だってまだ仕事モードはゴメンですけど、決まってるスケジュールはきっちりお願いしますよってことです。千雪さん、都合がいい日時、教えてくださいね」
言い方は優しいがきっぱり言い切ると、良太は携帯を取り出した。
仕事モードにはまだ突入したくはないが、良太は来週のスケジュールを確認しておこうと携帯を取り出した。
その時、玄関の方から佐々木と沢村が戻ってくるのが見えた。
沢村のやつ佐々木さんをどこに連れてったんだ?
と、つい、突っ込みたくなった良太だが、いやいや大人な二人のデートコースに外野がどうこう言うことじゃないし、とまた携帯に視線を戻す。
「あ、せや、良太ちゃん、来週の水曜やったな? 怖いオバハンのとこ行くんは」
軽く声を掛けてくれたのは佐々木だ。
何分、今、もっとも考えたくない案件である。
「はあ、って、怖いオバハンとか、言わないでくださいよ、俺、またうっかり怖いオバハンとか口を滑らしたらどうするんですかあ」
良太は半分本気で佐々木に抗議した。
佐々木は講義されても笑うしかないようだ。
「なあに? 怖いオバハンって?」
暇そうなアスカがまた首を突っ込んでくる。
「良太、怖いオッサンならやり返す度胸あるけど、怖いオバハンの前にはすごすごと撃沈やねんな?」
千雪まで面白がって勝手なことを言う。
「みんなして面白がらないでくださいよ。こっちは真剣なんだから」
ぶー垂れる良太に、「せやなあ、かんにんて」と佐々木は言いつつもまだ笑っている。
「その日なら、俺も行ける」
沢村の発言が良太には至極まともに聞こえた。
が。
「そんで、その怖いオバハンと何、話すわけ?」
「だーかーら、もう、怖いオバハン言うな!」
喚く良太を見て、佐々木がまた笑う。
「ほんまに、トラウマになってしもたんやないか? 良太ちゃん」
あまりに佐々木に受けるので、「なあに? その良太のトラウマって」と興味津々アスカが聞いてくる。
「それがやな」
「ちょ、佐々木さん!」
良太は佐々木が話すのを阻止しようとするが、アスカが佐々木の腕を引っ張ってリビングの奥まで行ってしまった。
「あーあ、もうキャンプか。俺やっぱ、野球やめよっかなあ」
途端にここでまた軽く問題発言をしてくれる輩がいて、良太は頭を抱えそうになった。
back next top Novels
にほんブログ村
いつもありがとうございます
