十時にはテーブルの上は片付けられたものの、引き続き酒盛り中の一団あり、お茶とおしゃべりが続くテーブルあり、仕事も年齢も違う面々が集うこの合宿はやはり楽しいな、とほろ酔い加減の頭で良太は漠然と思う。
鈴木さんにラインをしたところ、ネコちゃんたちは大丈夫よ、と返信がきたので、ひとまず安心して休暇の最後の日を過ごせそうだ。
吉川さんにも、一度お礼に行かないとな。
カンパネッラは口コミで人気急上昇らしく、業界人もよく訪れるという。
だが、あまり大々的に宣伝するつもりもないらしい。
「ラッキーなんですよ。ほら、何しろ土地が親のもんだし。昔ヤンチャして迷惑かけてた分巻き返せればいいんで、知る人ぞ知るで、来てくださるお客様へのおもてなしは手を抜きたくないし」
平造さんは俺の師匠みたいなもんだから。
良太が平造のことで礼をいうより吉川の方がずっと平造とは親しいのかも知れない。
「何をまた悩んでいるんだ?」
頬杖をついて、うーんと考え込んでいた良太は、上から降ってきた声に顔を上げた。
「え、いやあの、ドキュメンタリー番組の出演、どうしようかなと」
「何をどうしようかだ」
工藤とこんな風に話せる時間があるのも良太にとっては嬉しかったりする。
「いや、その、吉川さんとか」
「聞いてみればいいだろうが」
「でも吉川さん、知る人ぞ知るであまり大々的に宣伝するつもりないって」
「だからって聞かずにすませるのか?」
バカにしたような口調で聞かれて、「打診はしてみます。明日にでも」とつい良太は言い返してしまう。
口にした後で、あ、また乗せられたと思うことも多く、そのせいで仕事が増えていると言っても過言ではない。
「あ、明日、こっちを五時くらいには出るつもりなので。みんなもそれでいいそうで、来た時のメンツで一緒に」
「わかった」
そういうと工藤の携帯が鳴り、工藤はテーブルを離れて電話に出た。
あーあ、もう元に戻りかけてるよな。
まあ、多少は工藤にも休養になっただろうと思いつつ、片付けの手伝いをしようと良太も立ち上がった。
厨房ではモリーや牧、公一や洋子らが京助や研二とともに洗い物や食器の片づけをしていた。
「もう、大方片付いたよって、良太ちゃん、ええで?」
良太の顔を見ると研二が言った。
「向こうはまだ盛り上がってるな」
食器を元の棚に正確に戻しながら、京助がダイニングの方に顔を向けた。
「ええ、みんな今夜が最後ってなもんで、騒いでます」
苦笑しながら良太が答えた。
「まあ、いいさ。ここで騒いでも迷惑になるようなこともないだろ」
「ですよね? 何か森に囲まれてますしこのお屋敷」
森村が京助を見て感心したように言った。
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