花さそう63

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 シルビーは物怖じしない懐こい子で、ハスキー特融の隈取も愛嬌のある可愛さになっている。
「ああ、合宿も明日で終わりかあ」
 シルビーを撫でながら良太はしみじみと言った。
「青山プロ軍団は明日帰るんやったな」
「千雪さんらはいつまで?」
「俺らも明後日にはもう帰らんとなあ」
「極楽生活名残惜しいなあ」
 千雪と良太が二人してシルビーの横でそんな会話をしていると、「だから、お前ら、邪魔すんな!」とまた京助の怒鳴り声がキッチンに響いた。
 
  

 帰りの高速は夜になっても天気が崩れるようなことはなく、青山プロダクション一行は快適に車を飛ばしていた。
 行きの時のメンツに、藤堂グループと沢村、佐々木の車も加わったので、上りの上里サービスエリアではまさしく団体旅行のような様相を呈していた。
 ちょうど夕食時とあって、みんなレストランで定食や丼などガッツリ食事を取った。
 午前中からスキー場に向かうと目いっぱい遊んだ面々は綾小路邸に戻ると存分に温泉に浸かってから出発した。
「きゃあ、美味しい!」
「でしょでしょ?」
 アスカと直子はここでもソフトクリームを二人で食べながら、何だかだとおしゃべりがつきない。
「ほんとだ、うんまい!」
 悠や森村も食べたいというので良太もつい買ってしまった。
「や、ほんと、日本は何でも美味しい!」
 森村はまた変な感心の仕方でソフトクリームをなめる。
「おい、良太、明日の………」
 良太に用があって探していた工藤だが、五人が持っている見るからに甘いソフトクリームを前に、言葉を失った。
「明日、何かありました?」
 良太は工藤を見上げたが、「ああ、いや、いい、あとで」と言うなり工藤は踵を返してしまった。
「何だよ、変なの、工藤」
 とボソリと言ってから、あ、と思い当たる。
 ソフトクリームを見た途端、気が削がれたに違いない。
 これは今後使えるかも。
 良太はこっそり悦にいった。
 サービスエリアを出て本線に入ると、良太はもう留守番で寂しい想いをしているだろう猫たちへと思いを馳せる。
 鈴木さんには軽井沢でお土産も買ったし、平造さんから手作りジャムを預かっている。
 工藤が運転するベンツは列をなしていく車の一番しんがりを走っている。
「ったく、何をちんたら走ってるんだ!」
 だからハンドルを握る工藤はさっきから文句ばかりだ。
「いいんですよ、安全運転で」
「ちんたら走ったら余計あぶないだろうが!」
 ったくこのオヤジは、せっかく車に二人でいるのに、少しは話しくらいしたらどうだよ!
 結局、来た時と同じ車にみんなが乗り込んでいる。
「だから運転代わるって言ったのに」
 良太も結局文句を言う。
「じきに東京だ」
「だったらゆっくり走りましょうよ。イライラすると血圧が上がりますよ」
 フン、っと工藤はそれでも少しは肩の力を抜いた。
 

 


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