「あ、でも、直ちゃんにも声かけてたよって、直ちゃん追加でもええ?」
佐々木の要望に良太は、「もちろんです!」と大きく頷いた。
「鈴木さんも、今夜いかがです?」
工藤の問いかけに、鈴木さんは小首を傾げた。
「あらでも……」
「森村のちゃんとした歓迎会ですから、遠慮しないでご一緒しましょうよ」
良太は遠慮がちな鈴木さんを誘う。
「じゃあ、少しだけ、顔を出させていただきます」
鈴木さんの答えを聞くと、良太は携帯に入れてあるこの界隈のリストの中から今からでも人数多めで予約できる店を探した。「モリー、しゃぶしゃぶとかでもいい?」
一応森村に確認すると、「もっちろんです!」と元気に返事する。
「じゃあ、西麻布の『灯』に聞いてみるか。でも今から予約とかできるかな」
『灯』はスポンサーや取引先の接待などに使ったりしているので、良太もオーナーシェフとは面識もあるが、老舗でおいそれと今日の予約などできるかどうかわからない。
でも工藤の予定が今夜は空いているかもしれないが明日ではわからない。
良太の中ではそこがまずポイントなのだ。
「あ、はい、青山プロダクションです。急で申し訳ないんですが、今夜八名で………え、大丈夫ですか?」
あの店なら十名くらいの個室は用意できるはずだと連絡を入れてみると、OKだという。
「それじゃ、よろしく………」
お願いしますと言いかけた良太は、ドアが開いてたった今アスカと秋山が入ってきたのを見た。
「あら、佐々木ちゃん、藤堂さん! と沢村っち、お帰り~!!」
アスカが窓際に陣取る面々を見てひらひらと手を振った。
「あ、すみません、ちょっとお待ちください、人数もう一度ご連絡します」
一旦電話を切ると、「お疲れ様です。ロケ終わりました?」と良太は秋山に声をかけた。
「ちょっと早めに終わったんで、サッサと戻ってきたよ」
アスカのドラマロケのため二人は数日大阪にいたのだが、共演者に苦手な先輩がいるアスカは神経を昂らせていた。
前からアスカに言い寄っていた中村真人という人気俳優で、モテ男だが女に手が早い上にとっかえひっかえ相手が変わるので知られている。
ことあるごとに「ご飯食べに行こうよ」と誘ってくるが、軽く見えるだけでなく軽い中村をアスカは毛嫌いしていた。
「ああ、でも、もう中村とは嫌」
そう言いながらアスカは藤堂の横に腰を下ろす。
「中村ってもしか中村真人? ひょっとして言い寄られてるとか?」
藤堂が尋ねた。
「もうウザいったら。中身ないくせに!」
「今回、脚本家の志田先生に頼み込まれて出演OKしたんですけど、今後は中村さんとの共演はお断りしますから」
秋山が気の毒そうにアスカを見た。
そこへ森村がアスカと秋山にお茶を運んできた。
「あら? まさか新入社員とかじゃないわよね?」
アスカが森村を見て言った。
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