「うーん、仕事次第やろな」
「今月末なら大丈夫そうって言っただろ?」
煮え切らない言い方をする佐々木に、あからさまに沢村が詰め寄った。
「やから、多分大丈夫」
そんな佐々木の答えに、沢村はまだ不服そうだ。
「工藤さんもいかがです? 京助さんと千雪くんがまた計画してますけどスキー合宿」
藤堂が工藤に振った。
「オヤジが混じるもんでもないだろ」
いい年してみんなで仲良しこよしで合宿とかできるか。
「え、でも宇都宮さんも今年参加するみたいですよ?」
それを聞くと工藤は鼻に皴を寄せる。
何でまた宇都宮がしゃしゃり出てくるんだ!
工藤は最近男の色気ランキングでナンバーワンと言われていた男の顔を思い出して心の中で文句を言った。
宇都宮が参加するのなら同世代の自分がオヤジを理由にパスることもできないだろう。
それに………。
「まあ、俺も仕事次第だな」
良太はその言葉に思わず工藤を見た。
「え、今年工藤さん参加するんですか? いつ?」
勢い口走った良太は、うっかりな自分をすぐに窘める。
これじゃ、まるっきり、工藤が行くんだったらその日に行きます、とか言ってるみたいなもんじゃんね。
「たまにはいいと思いますよ、工藤さん。夏に棚ぼた休暇二日くらい取っただけじゃないですか。それも綾小路関連のイベントに参加したりとか。仕事から全く離れた休暇をぜひおすすめしますよ」
良太の逡巡もそっちのけで秋山が力説した。
「それ、秋山さんにも同じこと言うわ」
アスカが言った。
「そうだ、工藤さん、どうせならヤギさんとかにも声かけたら? オヤジのお仲間で温泉目当てでいいじゃない。あの屋敷のお風呂、温泉なのよ」
「あら、お屋敷に温泉が引いてあるの?」
こちらも少し酒をたしなんだので、口が滑らかになった鈴木さんが聞いた。
「そうなの! 贅沢だと思わない? 鈴木さんもスキー合宿じゃなくて、温泉合宿で参加したらいいのに」
「あら、とんでもない。私くらいオフィスに残っていないと、大変でしょ?」
柔らかい言い方で鈴木さんは辞退を示す。
「一日二日オフィス閉めたっていいのに。あ、でもあの屋敷って、東洋グループの保養施設としても貸し出してて、社員はただみたい」
アスカの説明に、「うちの別荘もいくらでもただで使えと言ってるだろ」とつい工藤は対抗意識を露わにする。
「温泉はないがな。メシは平造か杉田さんが作ってくれるからレストラン並みだぞ。森村も覚えておけ」
自慢するつもりはないが、あまり人の別荘を褒められると工藤も面白くもない。
「そういえば、前は、軽井沢でみんなで夏休みとかやって楽しかったけど、最近、ないよねえ、みんな忙しすぎ」
アスカは思い出すように言った。
「そうですね。良太ちゃん、来年また社員とその家族の慰労会やるんだったら、軽井沢っていうのもいいね」
秋山が良太に提案した。
「候補に入れときます。みんなが集れれば問題ないんですけど」
良太は頷いた。
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