辻がすぐ気づいたくらいだ。
「そんな、目立つ……とこ……」
「うーん、せやなあ、そうと思うやつはそう思うやろな。けど、別にええやん、千雪も京助さんとつき合うてるん、仲間うちには隠したりせえへんし」
辻は軽く言うが、良太としては、舎弟ならぬ新入社員の森村にそう簡単に実はなんて話せるものではない。
「でも、千雪さんたちとはちょっと違うかと………社長と部下がとか、あんまりよくは思われないし……」
自分で口にしながら良太は顔を赤らめる。
「それで会社がグダグダになっとるとかやったら、そらあかんか知れんけど、むしろ工藤さんも会社も、良太がおらんと機能せえへんちゃう?」
「いや、俺はそんな大それた人間では……」
持ち上げてくれるのはわかるが、良太としては、せっかく森村が意気込んでいるところへそんな話を聞かされたら、海老原に言われたように、会社を変に誤解するのではないかと、それが心配なのだ。
はあ、とまた溜息をつく良太を見て、辻は苦笑する。
「あんなあ、モリーは散々京都で工藤さんのこと見とったんやろ? 良太のことも尊敬のまなざしで見てるやん。やから、もし二人のことわかったかてそれで二人への評価が下がるとか、ない思うで?」
千雪から聞いた話では、辻は京都にいた頃、ヤンキーのボスみたいな存在だったというが、優しいホストならぬ店長である辻は、冷静で客観的な考え方の持ち主だ。
「お、モリー、三台とも試乗おわったらしいで」
辻が顔を向けた窓の外を見ると、良太にも森村がこちらにやってくるのがわかった。
「お待たせしました」
モリーは頬を紅潮させて二人のテーブルへ歩いてきた。
「どれがええ?」
「三台とも甲乙つけがたいんですが、ボルボのショートワゴンがいいかなっと」
森村が言うと、辻は「なかなかいいよ、あれ。旋回特性もいいしさ。パワステも軽すぎなら、モリーに合わせて重くも設定できるし」と頷いた。
「あ、それならお願いします。何よりコンパクトだし、長さもそう長くないし。いいですか? 良太さん」
「もちろん、モリーがいいんならそれでOKです」
辻の用意した書類に目を通して、良太は支払いを済ませる。
「ようし、ほな、すぐ使うんやったら、乗ってってええけど、急がへんのやったら、ナビとか新しいヤツに交換したり、今、スタッドレスやけど、普通タイヤもサービスしとくけど?」
辻の説明に、森村は、「急ぎませんよね?」と良太に聞いた。
「全然。きっちり整備して、届けてもらえればありがたいです」
「わかった。整備したら、なるべく早う届けるわ」
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