小学校の時、危篤と聞いて良太が家に帰り、病院に連れて行ってもらった時にはもう亡くなっていた。
そういえばその夜熱を出して寝込んでしまったのを、良太は思い出した。
何か自分では処理できないことやどうにもならない感情に突き当たると寝込んだのはその頃からだったのだと。
確かに、もう、いい大人で、責任もある仕事についているのだから、いい加減、そういうのから卒業しないとなんだけど。
風邪を引いていたのもあっただろうが、俺が寝込んだのは工藤のせいだからな。
ほんと、ちょっとは自分を労われよな。
「ま、でも、打ち上げはやろうね?」
あらためてダメ押しする水野に、良太は笑って頷いた。
ってか、まだCM、東洋グループのOKも出てないんですけど。
俺、完成データも見てないし。
「うおーい、良太~」
そこへ小笠原がのたのたとやって来た。
「モリーに聞いたけど、スキー、みんなで一緒に行くって? 現地集合じゃなくて?」
「それでもいいけど、美亜さんと一緒に行くんでしょ? 水谷さん抜きで。道路事情もわからないし、何かあった時のために、一応、他の車と一緒の方がいいと思うけど」
「何かあった時って、何よ?」
不服そうな顔で小笠原が聞いた。
「今のところ、普通に雪の予報だけど、万が一渋滞で車が動かなくなったりとか」
「ああ、まあ、そう、ね」
小笠原もそれには頷いた。
「俺らと一緒じゃなくても、一応そういう時のための準備はした方がいいと思うよ」
良太は念を押して言った。
先頃の大雪では新潟県で何日も立ち往生などが発生したが、いつ交通に影響が出ないとも限らない。
「OK、わかった」
納得したようで小笠原は監督に呼ばれて戻って行く。
「スキー、行くの? 青山プロ御一行様で?」
傍にいた水野が聞いてきた。
「ええ、週末に」
「いいなあ。ライブがなきゃ、一緒に行きたかったな」
「ライブ、待ってる人がいっぱいいますから、頑張って下さい」
「うん。今度、良太ちゃんもライブおいでよ。バックパスあげるから」
「うわ、行きます! 役得だ!」
そういうのなら、喜んでいく。
「何だ、スキーだ? 若いねえ」
坂口も聞きつけてやってきた。
「まさか、工藤ちゃんも行く?」
「当たり前です。宇都宮さんも参加する」
「クソオ、お前、いい年なんだから、俺と飲みくらいにしといたらどうだよ」
悔しそうに坂口はのたまう。
「あんたも少しは運動でもしたらどうです? いい年して飲みが過ぎるって、良太に怒られますよ」
ちぇ、俺をダシにするなよな。
聞き耳を立てていた良太は心の中で文句を言う。
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