思いがけず、一日空きそうな状況になってきたのは三日後のことだ。
もともと宇都宮のスケジュールの関係で、その日はドラマ『貴様と俺』の撮影はオフ。
パワスポの会議は前日に終わり、『今ひとたびの』のドラマ撮影は、竹野に急遽スケジュールを空けなくてはならなくなったため、やはりオフとなった。
竹野の場合、重要なスケジュールが入る場合もありきで撮影スケジュールは調整されているので問題はない。
やろうと思えばデスクワークやなんやかやでいくらでも仕事はあったのだが、良太は脳みそを総動員して翌日京都行を決行することにした。
工藤からは相変わらず業務連絡的な電話が一日置きに入るくらいで、事故のことなど何も言ってこない。
あれから匠とはラインで連絡を取り合い、工藤は怪我もなく問題はないらしいことはわかっていた。
それでも気になるものは仕方がない。
京都行は、午前中にオフィスを訪ねてきた千雪と話した後、決めたことだ。
というのも千雪がいくつかの情報を持ってきたからだ。
「加藤と山倉が今京都にいる。辻のダチが高雄の近くの知り合いの店にバイトとして手配してくれて、加藤が撮影のクルーがおるあたりを張ってた。今、撮影が嵯峨野に移ったよって、山倉がちょうど近くの店で張ってる」
「ありがとうございます。皆さん、仕事大丈夫なんですか?」
「そこはみんな融通の利く仕事やから心配ないわ」
「いっそのこと、皆さんで調査会社でもやったらどうです?」
良太と千雪は、鈴木さんが出してくれたロールケーキをぺろりと平らげ、コーヒーを飲んでまったりしてから、コソコソとそんな話を始めた。
「加藤が代表で、『猫の手』いうユニットで何でも屋的な業務請負始めたみたいやで? 今んとこ副業としてやけどな」
「そうなんだ? 色々仕事ありそうじゃないですか」
「どうやろ? ま、本人らが楽しんでやっとるんやからええ思うわ。とにかく、明日からは将太と淳史と辻も現地入りする予定や」
「辻さんて、目立ちすぎな感じですけど」
「まあな。あいつ年末年始休みなしやったから、今、休みもろて三、四日京都に帰るいうことや」
コーヒーを一口飲んで、千雪は続けた。
「ほんで、撮影のようすを張っとる以外に、加藤が辻のダチにちょっと調べさせたんやけどな」
途端に良太は少し緊張した顔になった。
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