「なんや、竹野さんて、かなりきつい子やて? アスカさん情報やと」
千雪が急に聞いた。
「ああ、まあ、キャリアが長いですからね、子役からだから、若いけどベテランていうか。アスカさんとはどっこいどっこいじゃないですか? ズバッと歯に衣着せぬ物言いなんか」
良太が笑いを浮かべて言うと、千雪もハハハと笑う。
「アスカさんからすると、竹野はきついから気を付けた方がええて」
「去年の『田園』のクランクインあたりは確かに。本谷くん、結構ビシバシ言われてましたから。でも竹野さんも徐々に馴染んで、宇都宮さんとこで鍋パやるころは普通にお友達でしたよ」
「あ、そうそう、宇都宮さんて、良太のことえろ気に入ってはるよな? ていうか、良太のこと好きなんちゃう?」
思わずドキリとするようなことを千雪はサラリと聞いてくる。
「え? ああ、いや、その、宇都宮さんはいい人で、俺だけじゃなくてよくしてくれますよ」
「はーん、さては告られた?」
ズバリ当てられて良太はさすが名探偵、と拍手を送りたくもなる。
どうやってごまかそうかとしばし思案したものの、千雪をうまくごまかすこと自体難しい。
「ここだけの話ですけど、まあ、でも、丁重にお断りしましたけど、全然気にせずよくしてくださいます」
「いや、あの人案外わかってて良太にちょっかい出したんちゃう? まあ、お前のこと大事にしてくれはるんやったらええんやけどな」
「わかっててって、何です、それ」
「やから、お前と工藤さんのこと、知ったはるんやない?」
「え、まさか………」
と完全否定できない気もしてくる。
何せあの、坂口とは長い付き合いだというのだ、宇都宮にしたらまだまだかけだしの良太など太刀打ちできるわけもない。
良太には、宇都宮は誰にもフレンドリーで穏やかな人のようにみえるのだが、マネージャーの田之上の言うには、相手によっては宇都宮は態度が違うらしい。
まあ、人には相容れない相手の一人や二人いて当然だ。
いや、実を言えば、初対面から文句を言われていい印象がなかったのは、この千雪の相方、背後霊こと綾小路京助だ。
今でこそ、千雪のことが最優先なだけで、京助の性格が竹を割ったようなというか、直情型人間で熱いヤツだとわかってはきたものの、工藤が千雪にちょっかいを出さないようにしろ、などと良太に凄んできたりしたので、良太は京助のことが未だに少し苦手にしている。
けど、海老原みたいな人は、マジごめんだ。
撮影終わるまで、ずっと海外行っててくれればいいのに。
岡崎のサービスエリアまで来ると、良太の用意したおにぎりやサンドイッチ、コーヒーで朝を済ませ、そこからは辻がまたハンドルを握った。
サービスエリアを出て本線に入ると、辻はぐんとアクセルを踏む。
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