「それで、辻さん、どうなんですか? 車ぶつけたヤツの件」
食べ終えた匠がぼそっと言った。
しばし、良太をはじめ千雪、辻、森村は口を噤んだ。
「うーん、まあ、色々嗅ぎまわってはおるんやけど、今んとこたいした情報はないなあ」
「皆さん、いくら腕に自信があるからって、素人なんだから危ないマネはしないでくださいよ?」
辻の答えに間髪入れず森村が言った。
「じゃあ、モリーは何か掴んでるわけ?」
匠が不服そうに尋ねた。
「いや、さほど情報というほどは………」
「言葉を濁したってことは、何か掴んでるってことだよね?」
さらに匠が追及すると、他の面々もじっと森村を見つめる。
「そう、つつかないでくださいよ、怖い顔で。俺だって一応、上司の命を受けてるんですから」
「そしたら、自分らで何か掴むしかないなあ」
千雪も森村の立ち位置をわかっていながらそう言って頷いた。
「もう、俺を苛めないでくださいよ」
森村は情けない声で訴える。
「危ないことなんか、何もせえへんで? 地元やからな、俺らのネットワークは地に足がついとるよって、だあれも怪しんだりせえへん」
辻が言った。
「まあ、ダチは横浜あたりのモンやから、地元には馴染めんけど、バイトってことで動いとるし」
「さすがに地元のネットワークってのは、正直掴んでいませんよ? そんなもんあるんだ?」
森村がちょっと感心したように聞いた。
「まあ、地元の連中は結束固いで?」
千雪も同調する。
「誠のネットワークとは別もんやけど、俺、未だに面われてないし? マスコミの取材とか町に来よっても近所のおっちゃんら、得体のしれん奴らには何も言わんし」
「それ、でも、学校とか? アルバムとかは?」
「高校はメガネかけよったしな。あんまり騒がれよるんで学校の写真とか嫌いやったし。まあ、それに、小林千雪を今さら取材したいいうやつらもおれへんやろ」
「なるほど」
森村は感心して頷いた。
「やからこっちでも、手島建設に顔出したかて、誰かなんてわかれへんで?」
「ちょ、それはぜったいやめてください!」
さすがの森村も千雪のこの発言には焦って懇願した。
「やったら、ちょっとは情報交換しよや?」
千雪はふふんと笑う。
森村はいつになくマジメな顔で「脅しですか」と千雪に抗議する。
「大石て、結構ろくでもないやつらしいな。息子の方」
千雪が言うと、森村が「えっ!」という顔をする。
「それに何か、妙なとこのえらいさんと繋がっとるみたいやし」
すると森村がまた「えっ!」と驚いた顔をする。
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