「ちょ、もう、やめてくださいよ! はああああ。良太さん、千雪さんにそこまで話したんですか?」
「え? 俺は何も………」
今まで黙って皆の話を聞いていた良太はとばっちりを受けて千雪を見た。
「良太には何も聞いてへんよ。やから地元のネットワークてバカにでけんで言う話や」
千雪が良太の濡れ衣を晴らす。
「そんなすごいネットワークなんですか?」
森村が真顔で千雪に聞いた。
「やから、隣の食堂のおばちゃんなんか誰も不振に思わへんやろ? いう話」
「はあ」
「森村くん、上司も千雪さんは信用できるって言ってたし」
良太は波多野の話を思い出して言った。
「それは、そうですけど。とにかく、民間人がヤバイことに首突っ込むとか危ないマネは………」
「モリーだって民間人だろ?」
匠が笑みを浮かべて言った。
「ま、そう、ですけどお。一応、俺、こうみえて、シールズだったし」
「え、シールズってあのネイビーシールズなん?」
辻がすぐ反応した。
「そうですよ! 自慢じゃないけど二年。こう見えて脱ぐとすごいんです!」
森村は子どもっぽい顔で笑った。
「良太の同類で童顔やし、そらわかれへんわ」
辻は事も無げに断言する。
「まあ、ニューヨークでもガキにしか見てもらえなかったけど」
森村は不本意そうに言った。
「俺はもう、アラサーですよ?」
良太もムッとして辻を見やる。
「そんなことより、この際、情報は共有して、辻さんらももちろんヤバいことはしないようにしてもらいますから、森村くん」
一旦言葉を切ってから良太は続けた。
「何か企んでるヤツらがいるんなら、いっそアジアの闇の奥にでも送り届けてもう日の目を見ないようしてやるのがいいんじゃないですか」
サラリと良太は口にして苦笑した。
「やっぱ、良太、お前、時々工藤さんより冷酷無比やな」
千雪が呆れたように良太を見た。
「何言ってるんですか。千雪さんには負けますよ。わんにゃん虐待したヤツなんか完全犯罪で葬ってやるって言ってたくせに」
反論する良太に、「どっちもどっちや、お前らは。それよりどないすんのや?」と辻が割って入る。
「今んとこ、用心して見張っとくしかないなあ」
千雪が言った。
良太としてはこっちに、工藤の傍にいられるものならいたいのは山々だったが、明日の朝には新幹線で戻らねばならない。
「そろそろ撮影始まります」
森村は立ち上がり、「良太さん、千雪さん、何かあったら必ず知らせてくださいよ? ヤバイマネは絶対しないでください」と念をおした。
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