「四月は杉田さん、ほら、軽井沢でお世話になった年配の女性だけど」
「大丈夫です。ちゃんとわかります。いろいろ杉田さんとはお話もしたので」
「四月がバースデイなんだけど、大々的じゃなくてこじんまりとでいいので、平さんみたいにお祝いしたいんだ。それで、何かいい案がないか、考えてみてくれないか?」
「わかりましたっ!」
元気よく返事をすると森村はお茶を飲み干した。
「……そういえば、アスカさんと秋山さん、何かいい感じでしたね」
「そう?」
森村はへらっと笑って雑用をこなしているだけのように見えるが、結構しっかり見ているらしい。
「まだ付き合ってはいないんですよね?」
「うん、どうやらそうらしいけど、まあ、外野は温かく見守るしかね」
「ですね。でもカップル多かったですね。ほら、良太さんのご友人とかも」
「ああ、あいつら、五月に晴れて結婚式挙げることになってる」
「うわ、それはおめでとうございます」
「披露宴に俺も呼ばれることになってるんだけど」
そういえば、かおりがしきりと俺の相手を探していたけど、まあ悪いけど、言えないよなあ。
「沢村も披露宴に呼べとかって言ってたけど、ゲームとバッティングしなきゃいいが」
月末にはプロ野球も開幕だ。
関西タイガースは大阪ドームだよな。
「野球選手はあちこち移動があるから、大変ですよね、シーズン中は」
「そうだな」
たまには佐々木さんも大阪でもどこでも行ってみればいいのに。
「沢村選手と佐々木さんもいい感じですよね」
良太は森村を見た。
「そう思う?」
「ええ。小笠原さんと美亜さんよりはもっと親密って感じで」
良太は笑った。
「あの二人も温かく見守ってやるしかないだろ」
「良太さんと工藤さんはどうなんです?」
さらりと森村が言った。
「なんか、良太さん、昨日からあんまり元気ないですよね?」
「ええ? そうか? さすがに疲れがたまってるのかな」
良太は適当な言い訳ではぐらかそうとしたが、そんな風に見られていたとは思ってもみなかった。
「何かあったんですか?」
森村は真っ直ぐ聞いてきた。
「良太さん、社員や仕事やいろいろに気を配ってるし、アスカさんのことも。でも、自分のことって絶対口にしませんよね?」
「え………」
「お二人って、会社とか親しい人たちには公認じゃないですか。でも、良太さん、仕事以外のことで、工藤さんへの文句言わないですよね。いや、お二人のプライベートだから、俺が口を挟むことではないのはわかってるんですけど」
良太は何といっていいか言葉がでてこない。
「工藤さんが良太さんのこと大切にされてるって思ってたんですが、なんか、良太さん、今朝なんかも辛そうな顔してたし」
ちょっと驚いて、良太は森村を見た。
俺、そんな顔を森村に見せてたんだ?
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