やがて車の音がして、入ってきたのはまた別の二人の男たちだった。
「兄貴」
トイレから出てきたクロがその一人を見て言った。
「こいつらか。車に乗せろ」
兄貴と呼ばれた男が言うと、クロと兄貴が従えてきたチンピラ風の男が良太と香坂を後ろ手に縛った状態で、倉庫から出ると止まっていたバンに乗せた。
今度は少し大きめのバンで色は白だ。
くそ、GPSだけが頼りか。
良太は心の中で呟いた。
「誰だ、このガキは」
クロが良太を引き摺るようにして車まで連れてくると、兄貴と呼ばれた四十代か五十代の赤ら顔が言った。
「女の部下で、女を追ってきやがったんです」
すると赤ら顔は良太の顎をグイと掴んで、「フン、使えるか知れん。一緒に連れてけ」と鼻で笑った。
良太と香坂はバンの後ろに転がされ、間もなくバンは赤ら顔とその手下らしきチンピラ二人が乗り込んで倉庫を出た。
その頃、千雪と辻、それに将太と加藤がクロ一人残された倉庫へと集まって来て近くに車を停めた。
既に加藤から、良太の携帯のGPSが移動していることは知らされていたので、一旦全員がそれぞれの車やバイクから降り立つと、顔を合わせた。
「俺と将太は良太を追う」
辻が言った。
「湾岸線を川崎方面に向かってる」
加藤が言うなり辻は車に戻りエンジンをかけると、すぐに湾岸線へと向かった。
バイクの将太は辻の車を追っていく。
「俺らはここでモリー待ちだ」
モリーから撮影が終わったという連絡がつい今しがた千雪に入ったところだった。
「工藤さんから、良太はどこへ行ったって怒鳴り込まれて、さっき」
車でこちらに向っていると電話をかけてきたモリーは、「うまくごまかしきれなかったかも」という。
「ああ、でも、できる限り工藤さんには知らせるなって、父に言われてるし」
それを聞くと千雪は、「モリーの父、どう動くとかわからないよな」と聞いてみた。
「わかるわけないし。でも、大井ふ頭から湾岸って言ったら、そうかって、何か察したような感じだった」
「船やな」
「船?」
「せや。船でアジアのどっかに送られたら、帰って来られへんか知れん」
「…kidding me!」
モリーは怒ったように言うと電話を切った。
「こういう時に限って京助、モルグやからな」
だからこそ香坂が銀座に出ていたのだろうが。
間もなく森村のショートワゴンがやってきて静かに停まるとライトを消した。
「俺はこっち」
加藤がイヤホンマイクを二人に渡すと、森村が建物の左側を指さした。
「千雪、俺から離るな」
加藤に頷いて、その後ろから建物の右手へと回る。
建物は施錠されておらず、森村は気配を消して中に入ると奥に閉まり切らないドアから鈍い灯りが見えて、近づくとどうやらテレビらしき音がした。
「一人いるだけだ」
「俺がこっちへおびき寄せる」
「Copy」
加藤が言うと、森村から返答があった。
加藤はすぐにガンガンと外から壁を叩く。
「誰だ!」
すぐに男が銃を片手に部屋から飛び出して来た。
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