風そよぐ103

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「しらばっくれるんじゃないよ。ネタはあがってるんだ。とっとと吐け」
 はあ、と思わず良太はため息をついた。
「警部役の取り調べじゃないんですから。ネタって何です?」
「だって、聞いちゃったんだもん」
「何を?」
 アスカはエレベーターホールのことを簡潔に説明した。
「工藤と電話、ですか。本谷くん、もちょっと、ガードをきつくした方がよくないですかね」
 工藤と電話で仲良く話せるというのは珍しいかもしれない、などと考えてから、工藤がわざわざ本谷に携帯を教えているということが、また良太の心臓を直撃する。
「いや、昨日も高雄で、工藤さんに、雰囲気だけじゃドラマは成り立たない、科白の方ももう少しマシに、体当たりでやれって言っておけ、とかって俺、言い渡されちゃって、キーマンだから心配なんじゃないですか? でも今時、体当たりとか、ないですよねぇ」
 適当にごまかしてその場をやり過ごしたかった良太だったのだが。
「ドラマなんかどうとでもなるわよ。やっぱり本谷の本音、良太、知ってたんだ。まさか、本谷に直接聞かされたわけ?」
 ごまかしは通用しない、とばかりに、アスカはさらに問いただした。
「まさか。俺も、ちょっと小耳に挟んでしまって、俺が聞いたってことは本人も知らないことで……」
 仕方なく良太は口にした。
「だからって、なんで、良太が引っ越すとかってことになんのよ? 工藤さんが付き合ってんのは良太でしょ? 工藤さんなんか今までだっていろんな女とかいたみたいだけど、そんなの勝手に外野が騒いでるだけだったじゃない」
「まあ、それを言うなら、俺も一人で騒いでるだけかもって」
「何言ってんのよ、工藤さん、そんなこと良太に言ったの?」
 ホントだったら承知しないという顔で良太を睨み付ける。
「いや………そんなわけじゃ……実をいうと、俺、うっかり、本谷が工藤に告ってるの聞いちゃって……。無論二人ともそんなこと知らないんで……その時、工藤さんが、本谷に、男にもよく告られるが、お前は勘違いしているんだ、そういう本気度をドラマに活かせとかって………」
 いつのまにか、良太は成り行きでぶっちゃけてしまった。

 


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