「またまた、うちで鍋しようって話、忘れたとは言わせないよ」
「あら、いいわね、あたしも混ぜて」
「お、いいっすよ」
ひとみと宇都宮の二人はすっかりその気になって、いついつがいいなどとスケジュールまで確認し始めた。
「良太ちゃんのご予定は?」
「俺ですか? もうそれこそ、これの撮影じゃない時は、ドキュメンタリーの制作にかかわってますしね」
「んじゃあ、鍋する時、また声かけるから、ちょっとでも時間作っておいでよ」
「はあ、わかりました。その時の状況で」
ひとみが一緒なら、まあ、いっか。
いや、別に宇都宮から距離を置いているつもりはないし、これも仕事のうちだと思えばなのだが、やはりその時の状況が問題だろう。
とにかくそれが一昨日のことだった。
昨日は『パワスポ』の打ち合わせがあり、そして今日、良太は下柳とスタジオで制作に顔を出してきた帰り、工藤に電話を入れてみたところ、だったら迎えに寄れとの指令を受けて『田園』のスタジオに立ち寄っただけなのだ。
良太の予測に反して工藤は『田園』の撮影に立ち会う回数が多いように、良太には思われて、そこもちょっと引っ掛かりがあるところなのだが。
スタジオに顔を出した途端、わっという歓声が起きた。
「おお、良太ちゃん、いいところにきたじゃねぇか。今からみんなで飲みいこうってことになったんだ。おい、一人追加な」
どうやらこれからくりだすらしい店に連絡を入れていたADに向かって、すでに出来上がっているのではと思いたくもなるような上機嫌で坂口がのたまった。
「おい、良太は俺の迎えに来ただけだ」
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