風そよぐ124

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「やだ、秋山さん、その言い方はないでしょ? あたしは竹野みたく辛らつなことを人に言ったりしないわよ」
「人は選ぶみたいですけどね」
 秋山は平然と言い放つ。
「ねえ、どういう子がタイプ?」
 何よ、とアスカが拗ねた顔で料理をつつくうちに、ひとみがビールを飲み干した本谷にワインを勧めると、素直にグラスを差し出した。
「タイプって……言われても……」
「ねえ、別れた彼女ってどんな子だったの? もう全然ダメなの?」
 アスカがさらに突っ込んだ。
「はあ、会社の先輩で………結構きっぱりした人でした」
「あら、年上? きれいな人だったのね?」
「まあ………」
 本谷が素直な性格らしいのは、答えに窮して黙り込んだりすることからもわかりやすかった。
「じゃあ、あたし立候補しちゃおかな」
 アスカの科白に、本谷はワインを吹き出しそうになった。
「ちょっとアスカ、本谷くんは素直ないい子なんだから、からかっちゃだめよ」
「ええ? だって、あたし今おひとり様だし、年上だし、美人だし、ドラマで知り合って付き合うって流行ってるじゃない。ねえ、本谷くん、あたしは嫌?」
 急にじっと見つめてくるアスカに、本谷は、「いや、って、あの、その……」としどろもどろになって、言葉に詰まる。
 アスカの魂胆が読めないまま、本谷に助け舟を出そうと思っていた秋山は、視線の先に意外な人物を捉えて少し驚いた。
「あ、ユキ、こっちこっち!」
 秋山が見ている方を振り返ると、千雪を見つけて、アスカは声を上げて手招きした。

 


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