風そよぐ135

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「アスカさんがわかっちゃったんだから、俺にわからないはずないでしょうが。本谷、工藤さんのことを見る時、まるで恋してますって目で見てるし、あれじゃ、何考えてるのかダダ洩れ状態です」
 相変わらず何を考えているのかわからない顔をして、秋山は状況をしっかりと把握している。
「だから、工藤さんが何で本谷にそんなの許してるのかって思うじゃない! なんで、良太がいるのに」
 アスカは感情が高ぶって、目頭が熱くなった。
「仕事のことは別としてもよ? だって良太ってば、本谷がうまくいかなくて悩んでるからって、自分のアホな経験談まで話したりして一生懸命なのよ」
 アスカは、朝、良太と本谷が二人で話しているところをさりげなくチェックしていた。
「工藤さんなんか、あの時、良太のこと、こいつには商品価値がないなんて言っておきながら、本谷には、ちょくちょく顔を出して気を使ってやったりして、おかしいんじゃない? 坂口さんだって認めてるのに、本谷がダイヤモンドの原石になれるかも知れないんなら、良太なんかとっくに原石だったわよ!」
 すると秋山ははあ、と一つわざとらしい溜息をついた。
「まあ、ね、あの言い方には語弊がありましたよね。工藤さんもいろいろ複雑なんですよ。それに工藤さんは、本谷のことは仕事以外の目では全く見てませんよ。仕事にイロコイは持ち込まない人ですし、あの人はいささか周りの秋波に疎いところがありますから。でも、工藤さんに恋してるって気持ちが本谷を成長させるんなら、それはそれでいいと思いますけどね」
「秋山さん、それ、工藤さんよりひどいから」
 軽く秋山を睨み付け、アスカは「工藤さんにはちゃんと恋人がいるのよって、本谷にわからせようって思って、ユキを店に呼んだのよ」と吐露した。
「だって、良太が、工藤さん、本谷に本気なんだって思い込んで、引っ越しまで考えてるってのに、ほっておけないでしょ!」
「それは由々しき問題ですね。良太がいなくなったら、青山プロダクションは終わりです」
「ちょっと、秋山さん! だから、あたしは会社ってより、良太の心配してるんだってば」

 


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