そんなことを考えながら、冷蔵庫から出した缶ビールのプルトップを開けた時、携帯が鳴った。
誰だろうと思いながら、テーブルの上の携帯を取ると、宇都宮の名前が出ている。
「お世話様です。何か、ありましたか?」
良太が何かトラブルでもあったのかと気色ばんで出ると、電話の向こうで宇都宮が笑った。
「いや、何事もなく順調だから。明日の夜って、あいてる?」
「は?」
いきなり聞かれて、良太は頭の中でスケジュールを思い浮かべた。
「いや特にはないですけど」
明日の土曜日は久々何も仕事は入っておらず、一応会社も休日ということにはなっているが、保留にしているデスクワークをやってしまおうと思っていた。
「じゃ、飲みに行かない? 俺、ちょっとオフもらったからさ」
「え………」
飲みに誘われてるだけだとは思うのだが、先日アスカに脅されたことが頭をよぎり、どうしたものかと良太は迷う。
だが、確かに怪しげ、と思わないでもない時もあったのだが、だからといって宇都宮が自分をそんな目で見ているというのが、どうにも考えづらい。
けれども、もし仮にそういう意図をもって良太に近づいてきているとしたら、ここでホイホイいいですよ、と言ってしまっていいものかとも思ってしまう。
「何かあるんなら無理にとは言わないよ」
「あ、ああ、何か土曜日は親が電話くれることがあって、最近、話してないから」
「そうなんだ、じゃあ、日を改めた方がいいかな」
「あ、いえ、大丈夫ですけど、明後日早朝ロケがあるんで」
「じゃあ、シンデレラは十一時にお返しすることにしよう」
良太は笑った。
八時に西麻布のペパミントという店で待ち合わせることにした。
西麻布なら会社に近いでしょ、という配慮にも、おかしな疑いをかけて申し訳ない気がした。
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