新幹線の中では、これまでも結構一緒にいたのに、何をそんなに話すことがあるのかと思うほど、ひとみとアスカは東京に着くまで喋っていた。
秋山とひとみのマネージャー須永は二人の後ろの席で、正直仮眠を取りたかったのはやまやまだが、声を落としているとはいえ、何かしゃべっているというくらいには耳障りで、眠りは浅くなった。
彼らが乗ったグリーン車両にはたまたま乗客も近くにはおらず、秋山は途中からタブレットを取り出して、スケジュールの確認や今日撮影が行われている高雄で初出演する能楽師のことなどを調べるついでに、ネットに上がっている宇都宮の情報も仕入れていた。
京都の新幹線のホームで、アスカがちょっと気になることを言ったのだ。
「今日はタクシーで帰りますからね。良太は今日は休みのはずだし、わざわざ良太に来てもらうほどでもないですからね」
「良太、じゃ、今日は部屋にいるのかしら」
「さっきちょっと電話を入れたら、デスクワークが残っていると言って、オフィスにいるようですよ。打ち合わせておきたいことがあるので私は後でオフィスに寄ってみます」
「あ、そうだ、これ言っといたほうがいいかも。宇都宮さん、なんか、良太に接近中みたい」
意外な言葉に、秋山はアスカを振り返った。
「宇都宮さんが?」
「多分、そうだろうって、ひとみさんが」
今度は少し離れて座っているサングラスのひとみを秋山は見やった。
それは秋山にとっても思いがけない情報だった。
確かに、『田園』では最初から良太と顔を合わせていたし、スタジオではひとみと宇都宮とそれに良太と一緒に和気あいあいと話しているところも垣間見た。
彼は確か、若い女優と破局になったばかりじゃなかったか。
さすがに宇都宮のそういう情報は知らなかった。
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