風そよぐ15

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「そのまま、あんたにそのセリフ返しますよ」
 坂口と工藤が掛け合いをしているうち、車は坂口の行きつけのバーに着いた。
 細長い店の奥のソファーに坂口が案内され、良太はその坂口に腕を取られているから、必然的にその隣に座らせられる。
 すると良太の隣には竹野が、坂口の隣にはひとみ、アスカが陣取り、その隣にドラマの座長である宇都宮と本谷、端に工藤が座った。
 ソファからあぶれた溝田や秋山や、そのほかのメンツはカウンターのスツールにとまった。
「よおし、今夜は何でも飲んでいいぞ! 俺のおごりだ」
 坂口は大きな声で太っ腹なセリフを吐く。
「おい、工藤、またしけた面してねぇで、ちったあ笑ったらどうだ」
「おかしくもないのに笑えませんよ」
 工藤が言い返すと、ひとみがアハハと笑う。
「だあめよ、高広にンなこと言っても無駄無駄。この渋―いツラが専売特許」
 そういうひとみは既にグラスを一杯空けている。
「もう酔ったのか」
 工藤はひとみをひと睨みするが、いつものごとくひとみには何のそのだ。
「そういえば、ヤギちゃんも最近全然じゃない?」
「スタジオに籠ってる」
「あーら、可哀そうに。早く穴倉から出てきて飲もうって言っておいて」
 ひとみはそういうと、今度はさっきからグラスを持ったまま体を固くしている本谷に向き直る。
「ちょっと、本谷ちゃん、新人だからって遠慮しなくていいのよ? もう、そんな怖いオジサンが横にいるからよねぇ」
 ひとみの科白に坂口に何だかだとかまわれていた良太は、はっと顔を上げてほぼ向かいに並んで座っている工藤と本谷に気づいた。
 うっわー、これって、まずいっつうか、何っつうか、どうしよ!
 ひとみの言ったように、本谷が固くなっているのが、工藤が怖いからだったらよかったものの、真逆の状況なのに、良太は一人焦った。

 


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