「明日の早朝ロケってどこ?」
「それが道玄坂なんですよね。朝早いんですけど、ちょっと心配で」
ふっと良太が口にすると、「心配って?」と宇都宮がすかさず聞いた。
「本谷くん、最近、CMでずっぱりだから、本谷くん目当てのファンの子がどこからか嗅ぎ付けて現れるんですよね。さすがに京都は少なかったけど、それでも何人かいましたし」
「ああ、なるほどね。彼のファンっていうと、若い子多そうだよね」
「小学生から中高生、多いんですよ。もちろん、妙齢の女性から実は年配の女性にも彼、こないだのドラマで人気上がっちゃって。でもそういうファンの人たちがあちこちから見てたりすると、本谷くん、どうも気が散るみたいで」
良太ははあ、とため息をこぼしてグラスを取った。
「あ、美味しい。すごくさっぱりしてて」
一口飲むと、あとはゴクゴクと半分くらい飲んでしまった。
「モヒートね。ここのオリジナルのペパミントカクテルも美味しいって話だよ。次いってみる?」
「宇都宮さんは飲まないんですか?」
「オッサンはこれ」
宇都宮がジャックダニエルズの入ったグラスを傾けると、氷の涼やかな音がした。
「まあねぇ、人気があがるってのはありがたいことなんだろうけど、正直、そういうファンの押しかけ行動みたいなのはやめてほしいって思うよな。特に彼、本谷くん、新進気鋭ってか、いきなり人気上がっちゃったみたいだから、どう対処していいかわからないんだろうね」
グラスを空にすると宇都宮はスタッフを呼んでお代わりを頼み、良太にはペパミントカクテルを頼んだ。
「でも、良太ちゃんが気に病むことないんじゃないの?」
「まあ、確かに、当人の問題なんですけど、今回のドラマ、本谷くん結構メインキャラだからカットも多いし、その分科白もあるわけで、リテイク重なってしまって」
昨日は何とかうまくいったようだが、またファンが押し寄せたりすると、本谷は気にして撮影に支障をきたさないとも限らない。
「ロケだと、あんまりポカやらかせないよね~。そうだよね、ドラマ全体のこと考えると気にしないわけにはいかないか、良太ちゃんとしては」
「俺が何できるってわけでもないんですけどね」
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