細いが通る声に、皆がハッとして振り返った。
「亜弓さん!」
アスカが気が付いて、駆け寄った。
「あの、兄が入院している病院教えていただきたいんですが」
ほっそりとしているが目鼻立ちのはっきりした美人で、意思の強そうな目で訴えた。
「え、良太の妹さん?」
小笠原が顔を上げた。
「亜弓さん、いらしてたんですか」
亜弓の声に気づいて、キッチンから鈴木さんが出てきた。
「鈴木さん、さっきお聞きした時はまだ意識がないって」
「大丈夫みたいよ。目が覚めたって。検査も異常はなかったし、今日は念のため一晩病院に泊まることになったのよ」
鈴木さんがこちらへどうぞとソファへ促すのだが、亜弓は首を横に振った。
「病院に行ってみます。着替えとか、何か必要なものもあると思うし」
「着替えとかはね、さっき私が用意して、秋山さんに持って行っていただきましたから、特に必要なものはないと思いますよ」
「そうですか、ありがとうございます。いつもお世話になっているって兄が」
「いえいえ、こちらこそお世話になってますからね」
鈴木さんの笑みにも亜弓はかたくなな態度で唇を噛んだ。
「どうして……」
亜弓が声を振り絞るようにして言った。
「どうして兄がケガをするようなことになったんですか? 撮影の体制とか、ちゃんとしてなかったからですか?」
亜弓は濁りのない通る声で、皆を見つめるようにして言い放った。
「どうして兄だけがケガをしたんですか?」
亜弓の強い言葉に、しばらく誰も声を出せなかった。
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