風そよぐ170

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 フンと沢村を睨み付けたまま亜弓ははっきりと口にする。
「へえ、天敵なん?」
 だが佐々木に笑みを向けられると亜弓も少したじろいだ。
「こいつ、俺と良太が喧嘩してる横で、でかい声で俺を罵倒しやがって」
「お前はガキか?」
 佐々木に軽く睨まれると沢村もムッとしながら口を噤む。
「亜弓さん、病院行くのならお送りしますよ」
 秋山の申し出に亜弓は「ありがとうございます」と頭を下げた。
「それで、良太、どうなんですか?」
 沢村はここに来た目的を思い出したように、秋山に尋ねた。
「目が覚めたようだよ。まあ、今夜はゆっくり休めばいいと思ってね。工藤さんついてるし」
「ああ、それなら、俺らバタバタしないほうがいいですね」
「そうだね。大病とかじゃないし、名の知れた俳優や沢村くんなんかが押しかけたら、それこそまたネットにネタを提供することにもなりかねないからね」
 秋山はそれから本谷に向き直り、「本谷くんも、もう大丈夫だから、わざわざ来てもらって申し訳ない」と諭すように言った。
「すみません、……すみません」
 本谷は消え入るような声でまた頭を下げる。
「でもさ、こういう時とかって、マネージャー普通一緒に来ない? そもそもやっぱあなたの事務所、ちょっとおかしいわよ」
 アスカが怒りを露わに言い放った。
「だよな、いくら大手っつっても、何様のつもりだよ」
 小笠原もアスカに同調する。

 


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