宇都宮が危険とは思わなかったが、良太の妹である、何となく二人で行かせるよりはと思ったのだ。
「俺も、そういえば腹減った」
千雪も同調する。
「じゃあ、みんなで行きましょうか。しかし、どこかありますかね、大勢でおしかけてもOKなとこ」
宇都宮がみんなの顔を見回した。
「この人数じゃちょっと難しいかも知れませんね。それに、ちょっと難ありなメンツですから、デリバリーにしてここで召し上がったらいかがです?」
秋山の提案に異を唱えるものはなかった。
「よっしゃ、ウーバーイーツで、良太の快気祝いといこうぜ」
調子よく宣言して小笠原が携帯を取り出した。
「亜弓さん、九時台の新幹線なら静岡に十一時頃になりますが、大丈夫ですか?」
秋山が亜弓に確認した。
「はい、全然OKです!」
やがて、秋山が依頼した鮨の出前が届き、各々が好きなものをデリバリーしてもらい、オフィスはちょっとしたパーティ会場と化していた。
鈴木さんも娘に電話を入れて、遅くなることを告げ、食器類などをキッチンで用意をした。
飲み物は小笠原と千雪がコンビニに調達に行った。
「あの、あの方こそは、モデルさんですよね? え、男性?」
千雪の後ろ姿を見つめながら、亜弓が誰とはなく聞いた。
「亜弓さん、ユキは初めてだっけ? 推理作家の小林千雪センセよ」
「え?」
今度は締まったドアを二度見して、アスカをまた振り返った。
「え?」
「話せば長ーいワケがあんのよ。まあ、深くは追及しないでやって」
「だって、あの、だって………」
驚きに言葉を失った亜弓に、ぜひ一緒にどうぞと引き留められた本谷も「サギですよねぇ」と笑った。
back next top Novels
にほんブログ村
いつもありがとうございます
