『社交辞令に決まってるだろ、本気にするなよ』
『宇都宮さんは嘘は言わないよ!』
『まあ、宇都宮さんは忙しいし、仮にほんとでもいつになるかわからないからな』
とりあえずそう打っておいたが、宇都宮さんにちょっと聞いておかないと。
俺に鍋しようって言った感じで、お茶しようって言ったんだと思うけど。
あの人、自分がどれだけ周りに影響及ぼすかって考えてないよな、きっと。
自然体の人なんだけどな。
しばらくキーボードを叩いていると、オフィスのドアが開いて一人の男が入ってきた。
「どちら様ですか」
鈴木さんが立ち上がった。
「ミタエンタープライズの浜野と申します」
その名前に良太は顔を上げた。
「浜野さん」
本谷のマネージャーで、電話では話したことがあるが、良太も顔をあわせたのは一度だ。
あ、確か声を聞いたことも一度あったっけ。
本谷ともう一人、女優の小佐田亮子の担当マネージャーだが、小佐田の健康状態が今一つということで彼女にかかりきりになり、最近本谷は浜野の指示を受けながら一人で動いていた。
「広瀬さん、怪我をされたとお聞きしましたが、もうよろしいんですか?」
「ありがとうございます。軽傷でしたのでもう大丈夫です」
「この度はうちの本谷のことで、広瀬さんにお怪我を負わせるようなことになり、社長の三田も非常に遺憾に存じまして、お見舞いとご迷惑をおかけしたことへのお詫びに参った次第です」
浜野はすると持っていた紙袋から高級そうなメロンが二つと熨斗を付けた紙包みを取り出してテーブルの上に置いた。
「本当にもうしわけございませんでした」
そう言って浜野は一分近く九〇度ほども腰を折って頭を下げた。
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