風そよぐ182

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 こうして社員みんなから心配されてみると、本当に家族のようだと良太は思う。
 万年人手不足とはいえ、少人数の会社だからこそというのがあるのだろう。
 今更ながらに有難いと思う。
 やっぱ、この会社離れることも、引っ越すこともできそうにないな。
 ぼんやりそんなことを考えていると、ポケットの携帯が鳴った。
「ひとみさん? あ、ええ、もう全然、平気です。会社です。ってより、確かLAじゃなかったですか? 今」
「そうよ、須永ちゃんがね、さっきネット見てこれって青山プロじゃないかっていうから、よく見たら高広じゃない? で寝っ転がってるのが良太ちゃんだし、もうびっくりしたわよ」
「LAはもう真夜中ですね。ひとみさん、いつまで?」
 CMのロケついでにオフを楽しんでいるはずだった。
「ドラマの撮影始まる前には戻るつもりだったけど、良太ちゃんのこと心配で明日にも帰ろうかと思ったわよ」
「来月まで十分楽しんできてください」
 わざわざ海外から連絡をくれるひとみのような人もいるし。
「わ、良太ちゃん、もういいの?」
「直ちゃんがお見舞いに行くっていうんで一緒に来たんだよ」
 夕方二人連れはそう言いながらオフィスを訪れた。
 直子は両腕一杯のピンクやオレンジや淡い色のバラをメインとした花束を抱えている。
「良太ちゃんの好きなパンナコッタだよ」
 藤堂は有名なパティシェりーの袋を掲げた。
「ありがとう! ほんのちょっとした怪我だったんだよ」
「でも心配したんだから。佐々木ちゃんからようすは聞いたんだけどね」
「まあ、でも、あれはちょっと考えなくちゃだね。ミタさんとこも、本谷くんの対応、なってない気がする」
 珍しく藤堂が難しい顔で言った。
「さっき、ミタさんとこの浜野さんがお見舞いに来てくれたんですよ。本谷くんのマネージャーさん」
「ああ、浜野さん? あの人も三田さんとこでもう二十年くらいだって聞いたけど、悪い人じゃないんだが、何ていうか今一つモノが言えない人で、中間管理職的なところもあるから難しいかも知れないけどね」


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