「じゃ、制作会社経由でお願いするとか?」
直子がそう提案した。
「そうですねぇ、このお見舞い金を使うかどうかは別にしても、ミタさんとこが何の手立てもしなければ、少なくともうちの仕事関連の間はそういうことも考えてもいいかも」
「そうよ、そうすれば、良太ちゃんの仕事も軽減するし」
「俺は別に、工藤さんみたくワーカホリックじゃないよ」
ムキになる良太を、直子は、「十分ワーカホリックよ。だってもう仕事してるし」と軽く睨む。
「まあでも、ミタさんとこもいい加減、本谷くんが人気だけじゃなく実力つけてきてるのわかってると思うし、これからのことを見越して考えるんじゃないのかなあ」
良太の言葉に、藤堂が「さすが、わかってるじゃないか、良太ちゃん」とにんまりと笑う。
「そうだ、いざとなれば、本谷くん、青山プロに移籍するとか?」
直子が声を大にして言った。
「いや、それは………」
万が一の時は賛成はしたいものの、良太は複雑な面持ちで言葉を濁す。
「移籍はなかなか難しいよ。小笠原くんとかの場合は、事情が事情だったから納得ってところがあったけど、大手からの離脱には、まだまだ問題がつきものだしね」
「だから業界って嫌い」
直子は途端面白くなさそうな表情をする。
「本谷くん、確かに最初はミタさんとこではアイドル路線で売りだそうとしてたんだけど、ドラマで徐々に評判上げてるからね、彼。少しは路線変更、するんじゃないかな。よその事務所の俳優さんでも、せっかく上向きになってる才能をつぶしたくはないよね」
「ですよね~」
良太も藤堂に同感だった。
「とにかく、もちょっと大事にしてやってほしいですよね」
俳優としての本谷はおそらくこれからもっと飛躍するだろうと思われた。
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