「工藤さんなんだって?」
良太が席に戻ると、志村が聞いた。
「HIDAKAのCM、俺、担当になります」
「ああ、さっき聞いた。大丈夫? 結構仕事詰まってるんじゃないの?」
「まあ、工藤さんほどじゃないですし、ただ、プラグイン、河崎さんなんですよね」
「ああ、それこそ元英報堂エリートの?」
「藤堂さんは話しやすいんですけど、河崎さんは………。ほら、前にイタリア行ったじゃないですか、あの時、ビシバシきましたからね」
良太にとっては黒歴史でもある、初めてのCM出演だ。
その後も工藤の代理で一緒に仕事をしたことはあったものの、担当としては初めてということになる。
「ああ、良太が出たカフェラッテのCM?」
「でもあれ、実際評判よかったよね。ドラマも」
隣の小杉が言った。
「やめてくださいよ、俺の黒歴史なんですから」
「良太は俳優もやってるのか?」
向かいの匠からそんな質問が飛んでくる。
「いや、一度ね、ピンチヒッターで。最初で最後」
「そうなんだ。最初見た時、てっきり新人俳優かと思ったけど」
サラリと匠は感想を述べた。
「あの、何でそこで新人、がつくんです?」
「いや、雰囲気新人っぽいってか、可愛いから」
良太は手にしたビールを吹き出しそうになった。
あんたに言われたくないぞ。
そのお人形さんのような可愛いツラして。
「確かに、可愛いよな、良太は」
志村が笑うのにつられるように小杉もハハハと笑う。
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