風そよぐ2

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 そもそもは、このプロダクション社長である工藤高広から小説の映画化を持ちかけられたことが発端だが、依頼、映画やドラマ化で行き来するようになったわけだ。
 今日こうしてこのオフィスにやってきたのは、秋にまた小説がドラマ化されるのでその打ち合わせのためだった。
昨日良太からその連絡を受けた時ははかどらない執筆に頭をかきむしっていた頃で、曖昧な返事をしていたのだがとりあえず原稿は編集に送ったし、千雪はとにかくどこかほっと一息つける場所が欲しかったのだ。
打ち合わせの予定は午後一時と聞いていたが、早々とオフィスにやってきた千雪は同じく疲労困憊気味の良太と相見互い、こうして鈴木さんに入れてもらった紅茶を飲みつつぼそぼそと言葉を交わしながら、交互にあくびをした。
「まあまあお二人とも本当にお疲れのご様子ね。そろそろお昼だしお弁当でも取りましょうか?」
鈴木さんは二人に憐憫の眼差しを向けながら声をかけた。
「それ賛成千雪さんもいることだしここは奮発して松花堂弁当と行きましょうか鈴木さん」
「あらたまにはいいわね」
「うー、それ聞いたら途端に腹減ってきたわ」
 良太の提案に二人とも異存はなく、いい季節になってきましたね、せやな、などと他愛もないことを口にしながら窓の外を見た。
「せえけど、四月に放映したばっかやろ? 二時間ドラマなんて今頃はやれへんちゃうのんか?」
 弁当が来ると、しばらく黙々と食べるのに没頭していた二人だが、あらかた食べ終わる頃になると、現金なことにようやく二人の生気も戻り始めた。
「『花の終わり』はもう過去の話でしょ? 『からくれないに』は秋に放映予定ですから。確かに昔のように二時間ドラマでテレビ欄が埋まるみたいなことはないですけど、ぼちぼちと枠もありますし、そこそこ視聴率取れるドラマですからね、老弁護士シリーズは。それに今回、数回ですけど連ドラになるんです」
 箸をおいてお茶をのむと、千雪の疑問に良太が答えた。

 


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