「連ドラ? ほんまに大丈夫なんか? キャストってまた大澤流とかやろ?」
たまたま大澤流は千雪の本来の姿を知っている数少ない俳優である。
「まあ、大丈夫なんじゃないですか? だから、ちょっとまた撮影とか、いろいろ変わるみたいで。スタジオ撮りとかも増えるし」
「ふーん、そうなん。そういえば、『花の終わり』て、良太、大変やったみたいやないか、撮影とか」
自分の作品のドラマだが、他人事のように感心して千雪は言った。
「そうなんですよ、もう、山野辺は毒を吐く、監督と脚本家はハブとマングース、宥めすかしてゴールに向かわせるのが一苦労で。その間もちょいちょい、面倒ごとが降りかかるし」
もはやご近所の井戸端会議もどきになり果てている二人の愚痴は声高に続いた。
「面倒ごと? 工藤さんのほかにか?」
「ああもう、あのオヤジは山野辺のことも何もかも俺に丸投げしてホイホイ海外ですからね、論外ですけど、沢村のやつがまた何だかだと」
「はは、沢村と良太て仲ええんやもんな」
「いやあ、ガキの頃からの腐れ縁ですって」
一つはあと息をついて良太は沢村と佐々木のひと悶着を思い起こした。
「沢村とつきおうてる佐々木さんて、京助の実家のお隣さんやったな」
「はあ、このご時世あんな一等地に広い土地もってると、大変ですよね」
「小夜ねえが、佐々木さんのお母さんにお茶習うてて、大和屋のイベントん時もお世話になったけど、若先生のお点前はステキやて女子高生みたいにテンション上がってたで」
そんなこと言う千雪は、五月の陽ざしを受けて輝くような笑みを浮かべた。
「次のドラマはそう面倒なことにならんように、良太が取り仕切ったらええやんか」
「まあ、ゲストがね、うちのアスカさんとひとみさんってことになってるから、とりあえず女性陣はOKですけど、まだ男性陣のキャストが決まってませんからね」
本当に面倒なことにならないように、前回の監督と脚本家を組み合わせるつもりはないのだが。
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