風そよぐ20

back  next  top  Novels


「はい、ありがとうございます! 頑張ります!」
 本谷は工藤からそんなアドバイスをもらって、今度は舞い上がっていた。
 だが工藤は、良太がいろいろと頭を悩ましたことも知らず、本谷が固くなっていたのは、ひとみが言ったような理由からだろうくらいしか考えていなかった。
 それより段々ヘラヘラしてきた良太に気がいっていた。
「良太、いい加減にしておけ、帰るぞ」
 やおら立ち上がると、工藤は良太を促した。
「何だよ、工藤、帰るんなら一人で帰ればいいだろ。良太ちゃんだけ置いていけ」
 いい機嫌の坂口が文句を言ったが、良太はへらっとしながらも立ち上がった。
「すみませーん、先生、ごちそうさまでした。お先に失礼します」
「やだ、もう帰っちゃうの?」
 竹野までが良太の腕を掴んで言った。
「明日早いんで、すみません」
 ペコリ、と頭を下げた良太は、いそいそと工藤に従った。
「おい、竹野と本谷、適当なところでタクシーに乗せてやってくれ」
 カウンターの後ろを通りしな、工藤は秋山に言った。
「ああ、竹野さんはマネージャー呼んだ方がいいみたいですね、かなり出来上がってる」
「頼んだぞ」
 工藤の後について店を出た良太は、「風が気持ちいい!」とすっかり酔っている。
「あ、タクシー、来た」
 よたよたと道路に出ていきそうな良太の腕を工藤は危うく掴む。
「いったいどんだけ飲んだんだ」
 タクシーのドアが開くと良太を押し込み、工藤は乃木坂を告げた。
 車に揺られると、良太は疲れも手伝って何やらわけのわからないことを口走っていたが、工藤に頭をもたせかけて目を閉じた。

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村
いつもありがとうございます