風そよぐ200

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「うわ」
 良太は隠れるように工藤の後ろに移動する。
「何だ、雷が怖いのか?」
「雷をバカにするとバチがあたるんだぞ! って誰かが言ってたぞ!」
 また、今度はさらに大きな音で雷が鳴った。
「近くなってる? 早く行こ!」
 良太は途端に、早足になる。
「まだ遠いから落ちやしない」
 工藤は言ったが、その時、ぽつりと雨粒が竹林の間から額に零れ落ちた。
「仕方ない、戻るか」
「え、戻るんですか?」
「そっちに行っても出られないからな」
 良太は踵を返すと、工藤をせかして歩き出したが、やがて雨脚は強くなってきた。
 野宮神社が見えてきたころには、雷雨は本降りになっていた。
 しばし軒先を借りて雨がやり過ごそうとしたが、止みそうにない。
 雨が降ってきたからだろう、斜め向かいの店がビニール傘を軒先に出した。
「ちょっと傘、買ってきます」
 良太はたたっと走って店に入り、傘を二本買って戻ってきた。
「かなり濡れたし、歩くか」
 工藤は傘をポンと刺すとそう言った。
「どこ行くんですか?」
 それには答えず、工藤は雨の中をゆっくりと歩く。
 スーツも靴も濡れてしまったし、このままタクシーに乗るのも気が引けた。
 撮影陣が宿にしている高雄のホテルに、良太も宿泊することになっているのだが、まだチェックインもしていない。

 


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