風そよぐ202

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「何が、かまわない、だよっ!! ここ、いったいいくらするんだよ、こんなVIPしか泊まらないような部屋、軽々しく案内されるなよっ!」
 部屋に案内されて、おかみがお茶を用意し、早速夕食をご用意いたします、ごゆっくり、と出て行ってドアが閉まってから数秒後、良太はそれまで我慢していた科白を喚き散らした。
「しょうがないだろ、ここしか空いてないってんだから」
 ソファにくつろいで、工藤は事も無げに言った。
 ベッドルームにはセミダブルベッドが二つ。
 リビングにはソファセット。
 和室にはテーブルと座椅子が並び、そして風呂やベッドルーム、リビングからは夕暮れの大堰川や嵐山が見えている。
「とかなんとか、あんた、今まで何回ここに来たんだよっ!」
「またしょうもないことに気を回す暇があったら、風呂でも入って来いよ。露天風呂、温泉だぞ」
 温泉、確かに魅力的だ。
 あ、またごまかしやがったな。
「だって、高雄のホテル、予約してんだぞ、俺。こんなとこにわざわざ」
「雨に濡れたからな。それに、お前、ミタエンタープライズから見舞金もらったんだろ? それで十分足りるから安心しろ」
「足りなくてたまるかよっ!」
 それでもかなり濡れてすぐにでもシャワーを浴びたかった良太は、風呂入ってくる、と工藤のことなどおかまいなしに先に風呂に向かう。
「大体、見舞金のことだって、ちらっと昼前に話した時は、俺がもらったんだからお前が考えろとか言ってたくせに」
 まあ、でもいくらかかるか知らないが、工藤がゆっくりできるのならいいか。
 良太はただ自分だけ、豪勢すぎるこんなところでついでに温泉に浸かってるというのが、高雄で頑張っているスタッフや志村たちにも申し訳ないような気になってしまう。
 食事の前にひと風呂浴びたいよな工藤も。
 良太は早々に風呂から上がって浴衣を着た。
「風呂、お先です」
「早いじゃないか」
「食事の前に入りたいだろ」
 工藤はまたフンと笑い、風呂のドアを開けた。

 


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