酒のせいで良太の頭の中を高雄の北山杉や保津峡の谷間やほの暗い竹林が入れ替わり立ち代わり浮かんでは消えた。
深い緑の奥で怪しく何かが蠢いている。
それが急に近くなり、匠の舞だと思いきや、その顔は誰でもないいつかどこかで見た能の面になり、その瞳の奥から摩訶不思議な灯りがみえていた。
工藤の指や唇は良太の身体を性急に這い回り、時折半分夢見心地のような良太の弱いところを刺激するたび、良太の唇から悲鳴のような声が熱く漏れる。
知らず良太は屈強な男の首にしがみつくように腕を回し、工藤の体臭が入り混じったフレグランスの香には既に安心感さえ覚えている。
冷たいローションとともに工藤の指が良太の後ろをまさぐると、一気に目が覚めたように良太は声を上げた。
「いつの間にんなもん………」
「さあ? 洗面所に置いてあったぞ」
「なん……うあっ………あ…」
憎まれ口もたやすく追い上げられ、喘がされる。
ぎゅ…ぎゅ、ぎゅ…
数寄屋造りの部屋に置かれた上質のベッドが揺らぐ。
ぐずぐずに溶けた良太の身体に工藤は二度、三度と押し入る。
「あん………っ! くど……」
「…良太」
工藤に呼ばれて良太は身体を震わせた。
気が付くと仰向けに工藤を見上げていた。
「……やっぱ……胡散臭せ……」
自分を見下ろしている工藤に良太はつい悪態をつく。
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