風そよぐ210

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 そういう工藤は既にスーツを隙なく着込み、身だしなみも整えて新聞を手に和室へと向かった。
 身体を起こしてもまだ覚めやらぬのは二度寝したせいだ。
 夕べは食事と美味い酒の後はベッドに直行して工藤と結局イチャコラ過ごしてしまい、いつもは夜中過ぎなのが早く寝たせいか明け方目が覚めた良太は、せっかくだからとまた温泉に入って寛いでいた。
 ところがこちらも同じく目が覚めたらしい工藤が風呂に入ってきて。
 あのオヤジは全くもう!!!!!!
 身体が工藤仕様にでもなっているかのように、簡単に反応してしまうからしょうがない。
 クッソォ!
 お陰で良太は起こされるまで寝入ってしまったのだ。
 そういえば、前にも猪苗代かどこかの温泉で泊まった時も、あのオヤジときたらやたらエロかったぞ。
 温泉で部下とこっそりなんて、三流ドラマのシナリオ、まるきり昭和のオヤジじゃん!
 その昭和のオヤジは、そそくさと食事を終えると、スタッフとの打ち合わせは渡月橋の近くにあるホテルで十二時だからそれまでゆっくりしろ、などと言いおいて出て行った。
 出がけにまた一つエロいキスなんかしやがって。
 高雄での撮影は割と長かったので一つのホテルにスタッフ込みで契約して宿泊していたのだが、この辺りのホテルは『からくれないに』のロケ関係で手配する際に調べたから、良太も相場はわかっている。
 監督や俳優陣の泊まるホテルは星の数もそれなりなホテルだが、工藤や小杉、それにスタッフはビジネスクラスに部屋を取っている。
 ただし、さすがにハリウッドの俳優とかならともかく、昨夜の高級旅館なんかはそれこそ仕事で使っていたら予算がパンクする。
 第一、チェックアウトも済ませてあったのに、わざわざ女将が俺を見送りに出てくるとか、絶対怪しい。
 工藤の密かに定宿だったのは確かだ。
 まあ、今更だけどさ。
 あんなオヤジが好きなんだから、しょうがないじゃん。

 


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