それでも映像に音が重なったのを見た時は、感無量という以外のなにものでもない。
「やっとここまで来たかって感じだな」
下柳が隣でボソリと言った。
「ヤギさんの血と汗の結晶ですよね」
「涙が抜けてる」
「ああ、血と汗と涙の結晶ですか?」
良太は笑う。
「ハハ。さあて、これからもう一仕事だ」
六月も残すところあと一日となった。
梅雨の合間、ここのところ晴天が続いていた。
「お、良太ちゃん、お帰り~」
『からくれないに』の撮影スタジオに出向くと、カットがかかったところで上機嫌の山根監督が良太を出迎えてくれた。
「何か順調そうでよかった」
「いやいや、まあまあ、良太ちゃんもさては京都で美味いもん食べてきただろう? 何か肌の艶もよくて、化粧ののりもよさそう」
気のいい冗談に良太はハハハと空笑いする。
温泉でゆっくりしてきましたなんて、言えないが。
「良太、お土産ってこれだけ?」
アスカが良太の持ってきた京都土産、抹茶を使ったお菓子で有名な店のクッキーをつまみながら聞いてきた。
「日持ちするものはそういうお菓子しかないですよ。その代わり、ほら、おむすび屋のおむすびいろいろ種類があっておいしそうですよ」
今日は大澤流や老弁護士御園生役の端田武の顔もあった。
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