良太はありきたりな言葉を口にした。
「ええ、あれから、広瀬さんが色々その言ってくださったお陰で、竹野さんのあたりもそんなにきつくなくなりましたし、俺もあまり硬くならないように、肩の力を抜いてやってます。ヘタクソなのは仕方ないですし」
本谷は苦笑いする。
「いや別に俺のお陰とか、そんなんじゃないですよ」
「ドラマにも出られてたんですよね? もう俳優はやらないんですか?」
また、その話か、と良太は息をつく。
「いやそれ、ほんと、もう、代役で、それも間違って出ちゃいました、ってやつだから」
「でも坂口さんが、惜しいなとかって」
また坂口さんか。
あの人、口にして実現させようみたいに思ってるんじゃないだろうな。
「坂口さんのは半分嘘八百だから、気にしないでください。それよりすみません、もう一つのドラマの方、無理にお願いしてしまって。急な話だし、スケジュールタイトになっちゃって」
良太はさらりと話題を変えた。
「ああ、それ、うちの社長も質のいいドラマだから、ありがたいと思って頑張りなさいって」
「それはありがたいです、こちらとしても。原作も結構好きなんですよ」
「すみません、俺まだ原作読んでなくて」
やっぱ、バカ正直だ、本谷は。
「いや、撮影までに読んでいただければ。今はこちらの撮影に集中してください。あ、それで近々、打ち合わせの予定ですので、また連絡させてもらいます」
そんなことをぼそぼそと二人で話していると、「何、二人でこそこそ!」と後ろを通りかかった竹野が言った。
「わかった、あたしの悪口言ってるんでしょ?」
少しだけまた本谷の表情が強張った。
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