「え、ああ、鍋、ですか」
夏になる前に鍋をやろうと、先日も宇都宮とひとみが盛り上がっていた。
外は今日も雨で、六月に入ってからからっと晴れた日がまだない。
「来週、火曜日ここの撮影終わったら、水曜、俺もひとみちゃんもオフなんだけど、水曜の夜とか、良太ちゃん、どうよ?」
またしても無駄に艶やかなバリトンで宇都宮が誘う。
「どういうメンバーなんです?」
「俺とひとみちゃんと良太ちゃんと須永くんの四人」
にっこりと宇都宮がのたまった。
「水曜ですか。下柳さんのスタジオが何時までかはその時になってみないとわからないんですけど」
「なんだ、ヤギちゃんなら、一晩くらいほっぽっといても大丈夫よ。何ならあたしから言ったげる。たまには良太ちゃん、息抜きさせなさいって」
ひとみが携帯まで取り出したので、良太はそれを慌ててとめた。
「あ、わかりました。ヤギさんには俺から言いますから、接待だって」
「そう、接待だよ。良太ちゃん。そういうのも仕事のうちだからねぇ」
良太の言葉尻を取って、宇都宮が楽し気にそう言って、水曜日の夜、宇都宮宅での鍋、が決まってしまった。
ま、いっか。
接待、だもんな。
ヤギさんのOKが出ればだけど。
良太が仕事で手一杯なのはよく知っているから、滅多なことがない限りダメとはいわないだろう。
ただ、編集制作の仕事は良太にとっても興味のある仕事なのだ。
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