風そよぐ44

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明日は、午後イチから『からくれないに』の打ち合わせ、五時から『パワスポ』の会議、夜は、小笠原と飲みに行く約束をしてしまった。
明後日は朝から、能登へのロケに藤堂や佐々木と同行することになっている。
一泊だが、スタッフともども温泉旅館を手配したので、これは良太も楽しみではある。
帰ってきてからも良太にはオフといって丸一日休める日がずっとない状態だ。
だが、余計なことを考えずにすむだけ、よかったような気もしていた。

翌日、『からくれないに』の打ち合わせには、良太はそういう場所に出るのを嫌う千雪を何とか説得して、迎えに行った。
「わざわざ迎えなんかいらんかったのに」
「とかなんとか、迎えに行かなかったら、千雪さんバックレてたでしょう」
途端、ナビシートの千雪はむすっとした顔をする。
「何か、良太、工藤さんに似てきたんちゃう?」
「やめてくださいよ、あんなクソオヤジと一緒にするの」
今日の千雪はよれよれのジャージとスエットではなく、一応地味ではあるがブランド物のスーツを着ている。
必要以上に髪を掻きまわしたのはご愛敬だ。
「けど、俺なんか顔出しても、誰も歓迎せえへんちゃう?」
「そんなことはありません」
「わ、臭いのん、来た、とかって、女優さん、逃げはったりするで? きっと」
「しません、仕事ですから」


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