風そよぐ50

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「ほんまに、テレビつけて、神様の言う通りみたいな………良太、聞いてんのんか?」
「え? ああ、本谷さんなら、大丈夫ですよ、きっと」
「おい、きっとて………ちょっと無責任ちゃう?」
 駐車場に降りると、たったか車のロックを解除し、千雪をナビシートに促した。
 エンジンをかけながら、良太は別のことを考えていた。
 工藤って、部外者にわざわざ、これからどこに行くとか、そんなこと、言ったりしないよな。
 本谷が、工藤のスケジュールを知っているということで、良太にはまた一つ引っ掛かりが増えたのだ。
 ま、いいや。
 良太は考えるのをやめて、千雪をマンションに送り届けると、『パワスポ』の打ち合わせへと向かう。
 ぼっとしていると、またライターの大山あたりに嫌味を言われるのが落ちなので、自分を叱咤して、仕事に専念した。
 会議が終わったあと、下柳のところに差し入れを持って顔を出してから、小笠原と八時にオフィスで落ち合うことになっていた。
「たまに一息入れなよ。良太ちゃん、ちょっとここのところ、頑張り過ぎ。そんなとこまで工藤のマネするこたないんだからよ」
 案の定下柳は小笠原に飲みに誘われたと正直に話しても、むしろそんな風な態度で良太を気遣ってくれる。
 人には恵まれてるよな、俺。
 会社の駐車場に車を滑り込ませると、良太は階段を上がってオフィスのドアを開けた。
「おう、今夜大丈夫か? 良太」
 既に鈴木さんも帰っていたが、小笠原はソファで一人待っていた。
「お待たせ。大丈夫だよ」
「んじゃあ、今夜はパーッと行こうぜ!」
 振られたと言っていた割には、やたら元気そうな小笠原は、腕をぐんと伸ばして立ち上がった。

 


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