風そよぐ6

back  next  top  Novels


「明日だったな、打合せ」
「はい、正午から、Oホテルのカトレアで昼食会になってます」
 味わう間もないだろう、工藤はそれでも腹が減っていたのか箸を動かしながら良太に確認した。
 ここ数年撮影を続けてきた、年明けに放送予定のMBC制作特別番組「レッドデータアニマルズ-自然からの警告」のプロモーションビデオはテレビ、SNS等折に触れて配信している。
 ナビゲーターには大物芸人で司会者、MCとしても人気が高い林田良和、プロ野球元ホワイトベアーズ監督古谷哲也を迎え、予定されているディスカッションにはパネラーとして番組の音楽を担当した『ドラゴンテイル』のボーカル水野あきらとギターの斎藤幸成、番組の監修を担当した動物行動学者で東京科学大学教授内野孝蔵、そして華を添える目的もあるが、保護犬や保護猫が家に数匹いるという女優の中川アスカの他、保護活動をしている団体『あにまる』代表石岡ひろみ氏を依頼している。
 明日はMBCのプロデューサーをはじめ、ディレクターの下柳、カメラマンの有吉とともに工藤と良太も出演者とともに食事会に列席することになっている。
 下柳とともに実際の映像制作に立ち会いつつ、会場の手配から各事務所を通して出席確認をし、『田園』のドラマ撮影で北海道ロケにも立ち会い、良太は昨日東京に戻ってきた。
 機内で爆睡したものの、それから小笠原の出演するドラマの撮影でスタジオで夜中まで立ち合い、しかも昨夜は夜中やっと帰ってきた矢先、工藤がやってきたというわけで、疲れと睡眠不足は溜まり続けている。
 まったく、俺なんか朝やっとの思いで起きたんだからな。
 気が付いたらいつものごとく工藤は出かけていた。
 ちらっと工藤を睨みつけてやるものの、当然、工藤にも疲れの表情が垣間見える。
 にしたって工藤、こんなことずっと続けてて、よく生きてるよ。
 ボソリと心の中で呟く良太だが、俺も年くってきたとか、これじゃ言えないじゃんね、と手早く食事を切り上げ、さっそく『からくれないに』の話に入る工藤を見つめた。

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ