風そよぐ7

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「今回は五回くらいの連ドラだ。急なのは、決まってたドラマがぽしゃったからだ。秋ドラマだから局側もちょっとやそっとの番組を入れるわけにはいかずに、実際はもっと先の予定だったが、失敗のないこのシリーズを持ってきたというわけだ。まあ、力入ってるみたいだから、お前もたまには撮影覗けよ」
 工藤に言われて、千雪は、はあ、とおざなりな返事をする。
「舞台が京都だからいいだろ」
「まあ、できる限り」
 京都が舞台ってことは、映画の撮影も京都メインだし、いいか、って、結局俺のところにいろいろお鉢が回ってくるってことじゃないのか?
 心の中でああだこうだと考えて良太は先を思いやる。
「あとのキャストはお前に任せる。千雪、使ってほしいキャストがいたら良太に言ってやれ」
 ざっと打合せを済ませると、後は良太に頼んだとばかりに工藤は立ち上がった。
「フジタ自動車行ってくる」
 颯爽と出て行った工藤だが、良太はその顔に疲れを読み取って、いつものごとく工藤に言わせれば余計な心配顔でその後姿を見送った。
「あら、もう出かけてしまわれたの? コーヒーお持ちしたのに」
 キッチンから出てきた鈴木さんがほうっと息をついた。
「工藤さんもかなりお疲れみたいなのに、ご無理なさらなければいいけど」
 鈴木さんの言葉に一つ頷いて、良太は千雪の顔を見た。
「ご要望のキャストはいかがですか?」
「んなもん、わかるわけないやろ、俺が」
 にべもない答えに、「もう、ちょっとは俺を助けてくださいよお!」と良太は半泣きで訴えた。
「あ、そうだ、今テレビつけますから、CMに出てきた人を、これ、って言ってください」
「良太、相当切羽詰まってるな?」
 呆れる千雪の言葉にも耳を貸さず、良太は壁側に設置してある大型テレビをつけた。

 


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